出っ歯や受け口で悩んでいる人は少なくありません。
歯は顔の中でも目立つ部分なので、気になる人は多いでしょう。
しかし出っ歯や受け口は、セットバック治療で改善が期待できます。
口元がきれいなEラインになるセットバック治療は、従来のルフォーや歯列矯正と何が違うのでしょうか。
セットバック治療のメリット・デメリットについて見てみましょう。
セットバック矯正とは
セットバック矯正とは、出っ歯や受け口を治す治療法です。
顎の骨を切って後退させ、口元と顎の線をきれいにする効果が期待できます。
従来の歯列矯正とは違い、口から顎にかけて全体的に調整します。
基本的に抜歯はしませんが、口元のラインを整えるために抜くこともあります。
歯並びも治せるので歯列矯正を兼ねて行う場合もあります。
セットバック矯正の流れ
セットバック矯正はどのように行うのか施術の流れを見てみましょう。
カウンセリング・検査
まずは虫歯や歯周病があると悪化するおそれがあるため、歯の健康チェックを行います。
その後は状況に応じて虫歯や歯周病の治療を進めます。
3Dデータ作成
歯の矯正のために口腔内を計測します。
通常はCTや写真を撮って3Dデータを作成する方法が一般的です。
またクリニックによっては歯列模型を使って詳しい治療計画を立てます。
また、顎が突き出ている場合は、オトガイ後退や短縮術なども並行して行うことがあります。
全身麻酔
通常、口腔内の手術は部分麻酔で行いますが、セットバック手術は大掛かりな手術になるため全身麻酔を使います。
切除
口腔前庭粘膜を水平に切開し、粘膜骨膜弁を形成しながら剥離します。
オトガイ部にはオトガイ神経血管束があるので、骨を切るのに最低限必要な部分だけ剥離します。
舌側歯肉骨膜を粘膜剥離子で剥離したのち、サジタルソウを使って骨切りを実施します。
セットバック治療のメリット
ここではセットバック治療によって得られるメリットについて紹介します。
2時間程度の手術で終わる
セットバック治療は即日で退院することができるため、入院することなく治療が行えます。
下顎のセットバックの場合は、下顎全体に手を入れるSSRO手術に比べて簡単にできるので、術後のダメージもそれほど大きくはありません。
また、手術するのは前歯の周辺だけで奥歯は何もしないので、手術直後から普通に食事が行えます。
きれいなEラインになれる
セットバック治療を行うと、きれいなEラインになれます。
通常出っ歯や受け口を治すには、矯正器具を長期間装着しなければなりません。
しかし、セットバック手術は手術したその日に出っ歯や受け口の改善が可能です。
ダウンタイムが短い
セットバック手術は、骨切り手術のなかではダウンタイムが比較的短いこともメリットに挙げられます。
内出血や赤み、腫れなどが生じるのは手術からおよそ2週間程度。
傷の治りが早いため、日常生活への影響も軽微です。
セットバック治療のデメリット
セットバック治療にはメリットだけでなくデメリットもあります。
もし検討しているのであれば、注意点も含めて確認しておきましょう。
全身麻酔が必要
一般的な治療とは違いセットバック治療には全身麻酔が必要です。
そのため、人によっては治療自体を受けられない場合もあるでしょう。
骨を削るリスクがある
セットバック治療では骨を削るので、一度手術を行うとやり直しも元に戻すこともできません。
また、歯の角度と骨の角度の調整が難しいため、一度削ってしまうと調整することが困難です。
骨を後退させるためには骨と骨の隙間を作る必要があることから、場合によっては歯を抜くこともあるでしょう。
費用が高いものの保険適用の可能性も
セットバック治療は短時間でできる手術ですが、自由診療となるため費用が高額になりがちです。
出っ歯や受け口を治す方法は他にもありますが、費用が安いかわりに長期間矯正器具をつけるといった制約があります。
ただし、顎変形症と診断された場合は例外で、外科的施術として保険が適用にされます。
その場合は30~50万円前後に費用を抑えられるため、費用面がデメリットになるとは一概に言い切れません。
- 関連記事:セットバックにかかる整形費用|口ゴボや出っ歯を治す治療方法についても紹介
- セットバックの費用について紹介します。
セットバック治療は何科で受けるべき?名医による治療を
セットバック治療は、初診で受けるなら子供の場合は小児歯科、大人であれば矯正歯科や口腔外科に診察してもらうとスムーズです。
もちろん、普通の歯科でも問題ありません。
一般的な歯科で診察を受けた後、セットバック治療ができる専門の歯科医を紹介してくれるでしょう。
ただし前提として、セットバック整形は高度なテクニックが求められる手術です。
経験豊富な専門医、名医の手による施術が望ましいでしょう。
セットバック治療とルフォーの違い
セットバック治療は、顎の骨を垂直に切って顎を後退させる手術です。
一方ルフォーでは上顎の骨を口の上で水平に切って移動させる方法です。
ルフォーは、出っ歯や受け口と同時に口周辺の左右非対称を治す場合に適しており、出っ歯や受け口だけの場合はセットバック治療が最適です。
セットバック治療と歯列矯正の違い
歯列矯正は出っ歯や受け口、歯の並びなどを改善する治療法ですが、手術ではなく歯に矯正器具を装着して治します。
矯正器具によって徐々に歯の位置をずらしていく治療なので、セットバック治療手術のように短時間で治せるわけではなく、長い時間をかけて矯正することが特徴です。
セットバック治療が向いているのはこんな人
セットバック治療は、出っ歯や受け口をすぐに治したい人に向いています。
また、極度の出っ歯や受け口といった矯正器具では治らない人にもおすすめです。
手術には全身麻酔をしたうえで顎を削って後退させるため、このような手術に抵抗がない人や、自分の顔の作りを大きく変えたい人にも向いています。
出っ歯や受け口の一般的な治療法として、ワイヤーやマウスピースといった矯正器具を装着する方法もあります。
しかし、この方法では矯正できるまでに数年かかることもあります。
矯正器具をつけてみたけど、一向に効果が実感できない人も少なくないようです。
また、ワイヤーを装着すると周囲の人に気づかれるため、どうしても気になるという人も多いようです。
また、食事をすると食材によってはワイヤーに引っかかるため、食事も制限される上に歯磨きも不便です。
この点では、マウスピースは簡単に取り外しができるため、食事や歯磨きは外して行えますがそれでも装着時に若干の違和感があるでしょう。
このように矯正器具を使ってみたけど、どうしても合わないという人にもセットバック治療は向いています。
(まとめ)セットバック治療で出っ歯や受け口を矯正!口元がきれいなEラインに
セットバック矯正とは、出っ歯や受け口を治す治療法で、顎の骨を切って口元と顎の線をきれいにする矯正手術です。
これまでの歯列矯正とは違い、口から顎にかけて全体的に調整して見た目をよくするものです。
顎の骨を切るだけでなく、口元のラインを整えるために歯を抜くこともあります。
セットバック矯正は、まず医師と相談して歯の状態をチェックします。
次に歯の矯正のために口腔内を計測し、CTや写真を撮って口腔内の型を取ったうえで3Dデータを作成。
その内容を元に歯列模型を使って詳しい治療プランを作ります。
通常、口腔内の手術は部分麻酔で行いますが、セットバック手術は全身麻酔を使います。
具体的な手術は、まず口腔前庭粘膜を水平に切開し、粘膜骨膜弁を形成しながら剥離します。
舌側歯肉骨膜を剥離したのち、サジタルソウを使って調整を行います。
セットバック治療のメリットは、2時間程度の手術で終わることです。
下顎のセットバックの場合は、下の前歯6本の周辺の骨だけを切除するので、術後のダメージもそれほどありません。
また、手術するのは前歯の周辺だけで奥歯は何もしないので、手術直後から普通に食事が摂れるため、すぐ普段の生活に戻れます。ダウンタイムも比較的短いです。
セットバック治療には全身麻酔が必要です。
また、セットバック治療では骨を削るので、一度手術を行うとやり直しが難しいでしょう。