受け口(反対咬合/しゃくれ)の矯正とは?方法や治療の選び方

受け口、本来の噛み合わせとは異なり、下の歯が上の歯より前に出ている噛み合わせのことをいいます。「反対咬合」の状態ですから、歯列矯正で歯並びを改善する必要があるでしょう。

受け口を改善する治療方法には様々なものがありますが、短い治療期間で治療を終わらせたい方にはセラミック治療がおすすめです。

受け口とは?

受け口とは、本来上の歯が前、下の歯が後ろで噛み合わせるようになっているのに対して、下の歯が上の歯より前に出ている噛み合わせのことをいい、反対咬合や下顎前突出とも呼ばれています。

受け口には、大きく2つのタイプがあり、歯の位置異常による「歯槽性」と、上下の顎の位置異常による「骨格性」が挙げられます。

  • 歯槽性:上の歯が後方に傾斜したり、下の歯が前方に出たりしている状態
  • 骨格性:上顎が成長不十分により後方にあったり、下顎が過度な成長により前方に出たりしている状態しゃくれとは何が違う?

しゃくれとは何が違う?

「受け口」と「しゃくれ」は医学的に明確な違いはなく、言葉の使われ方に違いがあります。

受け口は、噛み合わせや歯を中心とした場合に用いられます。本来とは噛み合わせが逆になっている状態を指し、下の歯が上の歯より前に出ているため結果的にしゃくれているように見えることがあります。

しゃくれは、下顎を含めた輪郭全体を指す場合に用いられます。外見的に下顎が突出している状態を表現することが多いです。

「受け口」と「しゃくれ」はどう違うの? >

受け口の原因

受け口の原因には、遺伝的なものと後天的なものがあります。

遺伝

親子の顔が似ているように骨格や歯並びも似るため、両親のどちらかが受け口の場合は、子どもにもその骨格が遺伝する可能性があります。下顎の顎先(オトガイ部)などに遺伝の要素がみられることがあります。

永久歯の生え方

子どもは6歳ごろに前歯の乳歯が永久歯へ生え変わります。その際、何らかの原因で上の歯よりも下の歯が前に出て生えてきてしまうことがあります。

逆に、乳歯のときに受け口になっている場合は、永久歯に生え変わる際に自然に治ることもあります。

骨格のバランス

は先に上顎が成長して、その後に下顎が成長します。その成長過程で、上顎の発達が不十分なまま下顎の成長が始まった場合や、下顎が上顎よりも過剰に発達してしまった場合、受け口になることがあります。

舌が短い

受け口の原因には舌の位置も関係しています。正しい舌の位置では上顎を押す形になっていますが、舌が短い場合や舌が下がっている場合は、下顎に舌が接する形になります。上顎を舌で押すことができず発達が不十分になったり、下顎を舌で押すことで過剰に発達してしまうことで、受け口になることがあります。

受け口によるデメリット

さ・た行の発音に違和感・舌っ足らずなしゃべり方

受け口の場合、上下の歯の噛み合わせが良くないため、歯に隙間ができ全体的に滑舌が悪い印象になります。

また、受け口の原因が正しい舌の位置より低い位置にある状態の「低位舌」である場合、上顎に舌をつけることが難しくなり、舌を多用する「さ行」「た行」の発音に違和感が出てしまいます。

虫歯・歯周病になりやすい

受け口により歯並びが悪くなっている場合は、歯磨きがしにくくなり、虫歯や歯周病、口臭の原因になります。

頭痛や肩こりの原因に

下顎は、頭・首・肩・腰などの身体の軸となる骨と関連しており、全身のバランス維持には必要不可欠です。受け口に限らず出っ歯などの不正咬合(噛み合わせが悪い状態)の場合、奥歯や顎に負担がかかることで顎関節症だけでなく、頭痛や肩こり、腰痛などの全身の症状を来してしまいます。

受け口の治療方法

マウスピース矯正・インビザライン

マウスピース矯正とは、マウスピース型の矯正装置(アライナー)を装着して圧力を少しずつかけることで、歯を後ろ側に動かしていく治療方法です。歯科先進国アメリカのアライン・テクノロジー社が開発した「マウスピース型カスタムメイド矯正装置」=インビザラインは、自身で取り外し可能で、透明に近く目立ちづらいのが特徴です。

しかし、動かせる距離には限界があるため、重度の骨格異常の場合は適応しません。

湘南美容クリニックのマウスピース矯正・インビザラインについて詳しく見る >

セラミック矯正

セラミック矯正は、ご自身の歯を削り、その上にセラミックのかぶせ物を装着する治療法になります。

受け口の「反対咬合」を治すことが期待でき、歯並びが美しくなるだけでなく、歯の形状や色を含む全体的な見た目の向上につながります。

湘南美容クリニックのセラミック矯正について詳しく見る >

SSRO(下顎枝矢状分割術)

SSRO(下顎枝矢状分割術)とは、下顎の一部(下顎枝)を矢状に分割してできたスペースを使用して、下顎を後方に移動させる手術です。

移動の許容範囲が大きいため適応範囲が広い点、分割した骨片同士の接触面積が広いため骨の治癒が速く、後戻りも少ない点が特徴です。

IVRO(下顎枝垂直骨切り術)

下顎枝垂直骨切り術(IVRO)とは、下顎の一部(下顎枝)を矢状に分割するSSROに対して、垂直に分割して後方に移動させる手術です。

SSROよりも骨の治癒に時間がかかりますが、下歯槽神経症状(下唇の知覚異常など)は出現しにくいです。

治療方法はどのように選んだらよい?

「歯並びも気になる」という方は、前歯の矯正だけでなく全体的な歯並びの改善にも適しているインビザラインや、歯並びを改善したい歯を複数本まとめて治療することができるセラミック矯正がおすすめです。また、セラミック矯正はデザイン性が高く、色や透明感なども整えることができるため、「歯の色も含めて気になる」という方に向いています。

「印象を大きく変えたい」「骨格全体から変えたい」という方は、SSROやIVROなどの外科手術を推奨します。

ご自身に適した治療方法を選ぶには、基本的に歯科医師や外科治療を得意とする美容外科医師に相談することが大事です。

歯科治療で受け口治療をすることのメリット

価格が安い

歯科クリニックでの治療は費用が高額というイメージがあると思います。

実際いくらぐらいかかるのか、費用を比較してみましょう。

受け口を改善する治療方法には様々なものがありますが、一般的にはセラミック矯正が安いと考えられています。

セラミック矯正は審美性に優れており、治療期間も短期間というメリットがあります。その分かかる費用も高額になるのでは……と心配される方も多いですが、実際の費用は4本セットで23万円(税込)~となっています。

歯の傾きに問題がある歯槽性反対咬合の場合は、この程度の費用で治療できるケースもあります。

マウスピース矯正・インビザラインは、複数のマウスピース(アライナー)を作製して1〜2週間ごとに交換するため、その分高額になるイメージですが、実際の費用は138,000円(税込)~程度です。

それに対し、外科手術のSSROは170万円〜、IVROは150万円〜と、歯科治療のマウスピース矯正やセラミック矯正に比べて非常に高額であることが分かります。

ダウンタイムなく治療ができる

SSROやIVROなどの外科手術は切開をともない骨格ごと矯正をおこなうため、ダウンタイムが長く痛みを感じやすいです。一方、マウスピース矯正・インビザラインは透明で目立ちにくく、自身で取り外しができるため食事も普段通り楽しめます。セラミック矯正は短期間で治療が完了するという利点があります。このように、歯科治療であれば治療期間は少し長いものの、日常生活への影響を最小限に抑えることができます。

受け口の矯正の症例写真

受け口の矯正 斜め

上下の噛み合わせが逆になっている受け口の状態です。プレミアムダイヤモンドセラミックで、上下の前歯6本ずつ、計12本の施術をおこないました。骨格的な異常が比較的軽度のため、セラミックで改善できました。

受け口の矯正 横顔

受け口のため、しゃくれて見えるのがお悩みのお客さま。プレミアムダイヤモンドセラミックで、上下の前歯6本ずつ、計12本の施術をおこない、上下前歯の位置関係を改善しました。プレミアムダイヤモンドセラミックは、強度・美しさ・安全性を兼ね備えた素材です。

受け口の矯正 正面

受け口でお悩みの20代女性のお客さま。今回は上下12本のダイヤモンドセラミック矯正で、お口元の印象を大きく改善しました。ダイヤモンドセラミックは、天然歯と同等の強度があり、審美的にも美しいのが特徴です。

セラミック

まとめ

受け口(反対咬合/下顎前突出)とは、本来上の歯が前、下の歯が後ろで噛み合わせるようになっているのに対して、下の歯が上の歯より前に出ている噛み合わせのことをいい、歯の位置異常による「歯槽性」と、上下の顎の位置異常による「骨格性」の2つのタイプがあります。

受け口の原因には、

  • 遺伝
  • 永久歯の生え方
  • 骨格のバランス
  • 舌が短い

など、遺伝的なものと後天的なものがあります。

受け口を放置しておくと、噛み合わせが悪くなったり、全身に歪みが及ぶことで

  • さ・た行の発音に違和感・舌っ足らずなしゃべり方
  • 虫歯、歯周病になりやすい
  • 頭痛や肩こりの原因に

などのデメリットが生じます。これらの症状が出る前に治療を始めましょう。

受け口にはさまざまな治療方法があり、

  • マウスピース矯正、インビザライン
  • セラミック矯正
  • SSRO(下顎枝矢状分割術)
  • IVRO(下顎枝垂直骨切り術)

など、歯科治療や外科手術で改善することができます。

お客さまのご希望やお口の状態、費用感などで最適な治療方法が異なります。歯科医師や外科治療を得意とする美容外科医師に相談して、ご自身に適した治療方法を選びましょう。

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