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歯並び自体は絶対的な条件ではありません
「パイロットになるには歯並びがよくないといけない」、という噂を聞いたことがある方もいるかもしれません。
しかし、歯並びの良さは、確実に満たさなくてはならない基準というわけではありません。
ただ、パイロットには航空身体検査というものがあり、その検査野中に「口腔および歯牙に関する基準」があります。
この検査があることによって「歯並びがよくないといけない」と噂になっているのでしょう。
パイロットの身体検査マニュアルには、口腔・歯牙の身体条件もあります
一般財団法人航空医学研究センターの航空身体検査マニュアルには、パイロットにおける口腔・歯牙の身体条件として以下の項目が挙げられています。
- 身体検査基準
口腔・歯牙に航空業務を妨げることが懸念される疾患や機能障害がない - 不適合状態
歯牙や上顎骨、下顎骨、また口腔周辺の疾患により痛みを伴う。または航空業務に従事することで痛みが出る恐れがある。 - 検査方法及び検査上の注意
必要があればエックス線検査を実施する。未治療の虫歯、根尖膿瘍、歯根のう胞やなど、航空業務によって痛みが発生する可能性があるものは速やかに治療を受けさせる。
上記の「2.不適合状態」に抵触するパイロットには、速やかな治療が求められます。
実際、気圧の変化で虫歯が痛んだり、集中力の欠けが問題点として挙げられています。
そのため、口腔に問題があれば航空業務に支障が出ると判断される可能性があり、不適合となってしまうのです。
しかし、歯並びは項目にないので、パイロットになる条件としては無関係です。
ただ、項目になくても歯並びが航空業務に悪影響を与える可能性があると判断されれば、不適合となる場合もあるでしょう。
歯並びが原因で虫歯や歯槽膿漏を招く可能性はあります
歯並び自体が直接パイロットの身体条件に関係ないことは前述の通りです。
しかし、歯並びが悪いことで口腔内にトラブルが起こるリスクを高めてしまうことも考えられます。
歯並びが悪いと、食事時に歯と歯の隙間に食べかすが溜まりやすくなったり、歯磨きで上手く食べかすやプラークを落としにくくなったりします。
こうなると、虫歯や歯槽膿漏を引き起こすリスクが通常よりも高くなってしまうでしょう。
虫歯や歯槽膿漏になると、航空身体検査に引っかかり、パイロットになるために大きく影響してくる可能性があります。
このことから、歯並びはパイロットになるために直接関係がないとしても、歯並びが原因で不適合項目に当てはまるものができるかもしれません。
見た目や印象といった意味でも、歯並びは良いに越したことはありません
歯並びが悪いことで口腔内の健康状態を妨げてしまうことがありますが、やはり見た目や印象への影響も大きなものがあります。
どうしても、歯並びが悪いよりも良い方が、人に与える印象面で有利になります。
特に海外では、歯並びが悪い人は自己管理ができていないという考え方が強く、爪切りや髭の処理といったマナーと同様に扱われているそうです。
そのため、パイロットは海外の方と接することも多いことから、歯に気を遣うことも必要と考えられます。
やはり、健康面・審美面の両方で、歯並びを矯正するメリットはあるといえるでしょう。
矯正治療をしていても、それが航空業務に支障を来すことがないと判断されれば不適合になることはありませんので、一度歯科医師に相談してみてください。
(まとめ)パイロットは歯並びが良くないといけないの?
パイロットの仕事をするに当たって、歯並びの良さは直接的には関係ありません。
ただ、パイロットの航空身体検査には口腔・歯牙に関するものがあり、こちらに該当する口腔内の疾患に関しては、不適合の条件となるので注意しましょう。
パイロットの身体検査マニュアルでは、歯や顎、口腔周辺の疾患によって航空業務を妨げる可能性がある状態は、不適合として定めています。
こちらに該当するパイロットは、速やかに治療をしなくてはなりません。
歯並びそのものがパイロットの適性条件には含まれませんが、歯並びの悪さが虫歯や歯槽膿漏のリスクを高める可能性があります。
たとえ直接的な要件として明示されていなくても、歯並びを改善した方が良いでしょう。
歯並びが外見に与える影響は非常に大きく、特に国外では歯並びが個人のマナーや印象に深く関わることがあります。
仕事において審美的な側面が重要であるため、矯正治療を受けることをおすすめします。