前歯は人の目に触れやすいため、見た目のよいセラミックで治療したい人は多いものです。
セラミック治療では、本歯ができあがるまでの間は仮歯を装着します。
その期間はおよそ1~2週間ですが、抜歯や根の治療が必要になった場合は、さらに時間がかかってしまうこともあります。
セラミック治療における前歯の仮歯期間
前歯のセラミック治療で、仮歯をつける期間はどのくらいなのでしょうか?
ここではクラウンの場合とブリッジの場合に分けて、平均期間をご紹介します。
クラウンの場合
クラウンとは土台の上からかぶせる人工歯です。
素材がすべてセラミックでできた「オールセラミック」のほかにも、より強度をもたせた「ジルコニアセラミック(ダイヤモンドセラミック)」や「メタルボンド」などもあります。
いずれの場合も、歯の型取りからクラウンの完成までに1週間~10日間ほどかかりますので、その間は仮歯を装着しなければなりません。
また、根の治療が必要な場合は1ヶ月以上仮歯をつけることもあります。
ブリッジの場合
ブリッジとは、抜歯をして歯がなくなった部分にかぶせる人工歯のことです。
装着する際は両隣にある歯を削って土台にし、橋をかけるようにしてブリッジをかぶせます。
セラミックブリッジの製作期間はクラウンと同じく1週間~10日間前後ですが、装着期間はこれから抜歯するのか、それとも既に歯のない状態なのかによって変わります。
これから抜歯する場合、骨の状態が回復するまで2~3ヶ月間かかります。
その間は仮歯をつけておき、落ち着いてからブリッジの型取りをする方法が一般的です。
一方、これまで使っていたブリッジをセラミックに変える場合は、歯や歯茎の状態に問題がなければ、ブリッジ製作期間(1週間~10日間ほど)だけの仮歯期間で済みます。
セラミック治療の流れ
セラミック治療の手順は、歯科医院によっても多少変わりますが、おおよそ以下のような流れで行われます。
カウンセリング・検査・治療計画
まずは実際の治療イメージや最適な方法を行うためのカウンセリングが行われます。
歯の悩みや希望がある場合もこの時に医師に伝えましょう。
カウンセリングが終わればセラミック歯を入れるために必要な検査を受けます。
虫歯や歯周病のチェックはもちろん、かみ合わせや歯並び、歯の位置、骨の状態などを詳しく調べるため、レントゲンやCTを使った検査を行う場合もあります。
これらの結果を踏まえて最適な治療方法や治療計画、かかる費用などが決定します。
仮歯の装着
治療方針に納得できたら、いよいよ治療開始です。
セラミックのクラウンやブリッジを装着するために、歯を必要な分だけ削ります。
前歯の場合、そのままの状態では見た目に問題がありますので、この段階ですぐに仮歯をセットすることがほとんどです。
急いでいる方は、ここまでのプロセス(カウンセリング~仮歯の装着)を1日で行ってくれるクリニックを選びましょう。
歯の根っこの治療
歯の状態が悪い場合は、このタイミングで根の治療を行います。
根の治療(根管治療)とは、歯の神経や血管を含む「歯髄」という組織を取り除く治療です。
虫歯や外傷などによって、歯髄が感染や壊死を起こした場合に行われます。
状態にもよりますがおよそ3~4週間、長ければ2~3ヶ月間かかることもあります。
セラミックの本歯装着
セラミックのかぶせ物が完成し、土台となる歯の状態も良好であれば、いよいよ本歯の装着です。
セットして色や形、かみ合わせなどの最終チェックをして問題が無ければ治療は完了となります。
セラミックはプラスチック製の歯に比べると変色しにくいのですが、汚れが付着したままだと変色の原因となります。
そのため、治療後も定期的にメンテナンスを受けることが大切です。
抜歯後にすぐ仮歯にできる?
前歯はほかの部位と違ってどうしても目立ちますので、抜いた後すぐに取り外しできるブリッジを入れます。
抜歯する前に、あらかじめブリッジを作っておくことも可能です。
その後、歯茎の状態が落ち着くのを待ってからセラミックのブリッジの型取りを行います。
前歯をセラミックにするメリットとデメリット
セラミックのメリットは、主に以下の3つです。
・透明感があって美しい
・変色・劣化しにくい
・金属アレルギーの心配がない
セラミックの魅力といえば、まずは「見た目の自然さ・美しさ」が挙げられます。
色も自在に調整できるため、本当の自分の歯と同じ見た目にすることも可能です。
また、セラミックはプラスチックと比べて変色・劣化しにいため、大切に使えば美しい状態を長く保てます。
加えて金属アレルギーの心配がないのも利点です。
一方で以下のようなデメリットもあります。
・割れやすい
・健康な歯を削る必要がある
・健康保険が使えない
特に注意が必要なのは「強度」の問題です。
セラミックは傷には強いのですが、構造はそれほど強くなく、衝撃が加わると簡単に割れてしまいます。
そのため、奥歯など強い力が加わる部位での使用にはあまり向いていません。
また、強度を上げるためにはある程度の厚みが必要です。
したがって金属のかぶせ物を作る場合に比べて歯を削る量が増えてしまう点もデメリットです。
セラミック歯の費用や強度
セラミックの費用や強度は、セラミック歯の種類によっても変わります。
歯の種類 費用(クラウン1本あたり) 強度
オールセラミック 70,000~120,000円 やや弱い
ジルコニアセラミック 90,000~130,000円 強い
メタルボンド 80,000~130,000円 強い
オールセラミックは、歯全体がセラミックでできているものがほとんどです。
色味と質感は天然歯に限りなく近く、アレルギーの心配もありませんが、衝撃に弱いことから前歯の治療に使われます。
ジルコニアセラミックは歯の外側がセラミックとなっており、内側がジルコニアで作られている人工歯です。
ジルコニアは人工ダイヤモンドとも呼ばれ、セラミックよりも強度に優れているため奥歯にも安心して使えます。
メタルボンドは外側がセラミックで内側が金属の人工歯です。
金属アレルギーのある方には向いていませんが、内側が金属で補強されることで高い強度が期待できます。
費用は、オールセラミックよりもジルコニアや金属を使ったもののほうが高めです。
いずれも健康保険がきかないため高額ですが、クリニックによっては「前歯4本セット」など、お得なセット料金を設定していることもあります。
セラミック仮歯の見た目
セラミック歯が入るまで使う仮歯は、見た目には普通の歯と大きく変わらないことが多いです。
ほとんどはレジン(プラスチックの一種)でできているため、セラミックのような透明感はありませんが、短期間の使用には問題ないことが多いでしょう。
仮歯をいかに美しく自然に仕上げるかは、歯科医の腕によるところも大きいため、仮歯にこだわりのあるクリニックを選ぶことをおすすめします。
(まとめ) セラミック治療における前歯の仮歯期間は?治療の流れや費用・強度について解説
歯や歯茎に問題がない場合、仮歯を装着するのは「セラミック歯ができあがってくるまでの間」です。
期間は大体1週間~10日間程度となります。
ただし、これから抜歯する場合や根の治療が必要な場合は1ヶ月以上かかることもあります。
前歯を抜歯すると、見た目や機能的に問題があるため、多くの場合はすぐに仮歯を入れます。
ただし、歯茎や骨の状態が落ち着いてからでないと本歯の型取りはできないため、仮歯期間は2~3ヶ月間かかることが一般的です。
セラミックは透明度が高く、審美性に優れている点が大きな魅力です。
一方、強度はそれほど高くなく、衝撃を受けると割れやすい点がデメリットといえます。
特にオールセラミックは、前歯の治療には向いていますが、強い力のかかる奥歯の治療には向いていないでしょう。
セラミック歯には、オールセラミックや強度をもたせたジルコニアセラミック、メタルボンドなどもあります。
強度の高いものは、その分費用も高めです。
セラミックを使った治療は自由診療となるため、事前によく相談したうえで最適な方法を選びましょう。