オールセラミックは歯科材料として適度な強度と耐久性を持っています
プラスチック素材のレジンと比較して、オールセラミックは高い強度と耐久性を誇ります。
ただ、歯科材料ですから、強度としては人工ダイヤモンドとも呼ばれるジルコニアには劣ります。
けれど、強度に弱点があるということは、言い換えると噛み合わせの歯を守ることにもつながります。
目次
オールセラミックには強度を維持するための工夫があります
セラミックは、陶器と同じ素材です。
食器として用いられている陶器というと、落とすなど強い力が加わると「割れる」イメージがあるでしょう。
ですからセラミックももちろん、強い力が加われば割れたり欠けたりすることはあります。
虫歯や歯並びの治療で用いられるかぶせ物(クラウン)をすべてセラミックで作製するオールセラミックでは、その弱点を補うために、クラウン自体に厚みを持たせるようにしています。
また、近年のセラミック素材は昔と比べ粒子が細かく、また隙間が小さいので粒子同士の密着度も高いために、強度は随分と高くなってきています。
歯科材料として用いられる素材には、レジン(プラスチック)もあります。
ただレジンの場合はセラミックと比較して柔らかいため、時間の経過とともに少しずつですが摩耗していくという弱点があります。
オールセラミックの場合はレジンよりも摩耗する心配がないため、歯の状態を長く維持することができます。
クラウンの状態を長く維持したいのであれば、オールセラミックは優れているといえるかもしれません。
オールセラミックは耐久性にも優れています
クラウンの耐久性というと、割れたり欠けたりするという意味での耐久性を連想しがちですが、「歯の白さ」をどれだけ長く保つことができるかという面でも考える必要があります。
オールセラミックと比較されることの多いレジンでは、以前と比較して細かな歯の色合いを表現できるようになってきました。
また、前歯の施術においては保険が適用されるため、施術費用が安く済むという利点はあります。
ただ、レジンの場合、施術後2年程を経過すると、唾液や食べ物の水分を吸収して変色したり、歯垢の付着によって着色するといった面での耐久性の低さがあります。
ですが、オールセラミックの場合では、この変色の心配がありません。
また、歯垢が付きにくい素材のため、着色の心配も不要です。
ですから、「歯の色」という面では耐久性に優れているのです。
オールセラミックを他のセラミック素材と比較してみましょう
一般に「セラミック」と言われるものには、3種類あります。
オールセラミックは、変色しにくいという耐久性に優れた一面があります。
強度では確かに割れやすいというのはありますが、これは言い換えると、噛み合わせの歯に過剰な負担がかかるのを抑えることができるということになります。
人工ダイヤモンドとも呼ばれる素材で、非常に高い強度を誇ります。
ですから、クラウンに強い力が加わったとしても割れる心配がありません。
けれどそれは、噛み合わせの歯に強い負担を掛けることにもつながり、強い咀嚼力を必要とする奥歯では良いかもしれませんが、前歯では噛み合わせの歯を傷つけてしまう心配があります。
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これはレジンとセラミックを混ぜ合わせた素材です。
オールセラミックと比較してやや安価で施術が可能ですが、やはりレジンが含まれていますから、2年程で変色する心配があります。
このように、オールセラミックは強度の面でも、また耐久性の面でも大変優れた素材で、天然の歯への負担も少ないものと言えるでしょう。
(まとめ)オールセラミックの強度や耐久性ってどうなの?
オールセラミックの、ジルコニアと比較しての強度での弱点は、噛み合わせの歯を守ることにもなります。
また、時間が経過しても黄ばむなど変色の心配がない点では、耐久性は高い素材です。
オールセラミックは割れる心配を解消するため、クラウンでは厚みを持たせています。
また、近年のセラミック素材は昔と比較して強度が高くなってきているので、以前と比べても割れにくくなってきているようです。
オールセラミックでは、レジンに起こるような変色や着色といった、歯の色が変わる心配がありません。
ですから、歯の色を維持できるという面で、耐久性に優れているといえます。
オールセラミックは適度な割れやすさから噛み合わせの歯を傷めないという強度の弱点がメリットになります。ジルコニアでは噛み合わせの歯を傷める心配が、ハイブリッドセラミックでは変色するという、耐久性上の不安があります。