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歯並びと口が閉じないことは相互に関係しあっています
「口が閉じない」には、二通りあり、一つは「唇が閉じない」、もう一つは「奥歯は噛んでいるのに前歯がかみ合っていない」というものです。
前者は、特に前歯の生える方向に影響を及ぼし、さらに唇が閉じないという現象を生みます。
後者では、口をあけっぱなしにしていることによっても起こりますが、舌で歯を押す癖があると生じやすいと言われています。
口を開けていると前歯の生える向きが変わり、さらに口が閉じないことにつながります
「口が閉じない」ということには、二通りあります。
一つは、「唇を閉じていない」ということで、黙っているときでも口がいつでもポカンと開いている状態のこと、今一つは「上下の奥歯は接しているのに前歯がかみ合っておらず、隙間が空いている状態」です。
まずは、前者についてお話ししましょう。
唇が閉じていない、口がいつでも開いている状態にあると、歯にも影響を及ぼします。
人間の歯は顎の骨からただ生えているように思いがちですが、実は外側にある唇や頬、それから内側にある舌の圧迫の影響を受けるので、それらの状態によって生える方向が変化します。
口がいつでも開いている、上下の唇が閉じていない状態を長く続けていると、前歯を表側から押さえる力が弱くなります。
すると、前歯は前方へ傾きがちになり、いわゆる「出っ歯」のような状態になります。
また、口を常に開けていると、本来上列の前歯の裏側に接しているはずの舌先が下列前歯の裏側に当たります。
こうなると、舌先が下列の前歯を前方へ押し出す力が生まれ、下列の前歯も前側に傾いてしまうのです。
歯が前に傾きせり出した状態になってしまうと、唇を閉じることが難しくなり、さらに口が閉じないという悪循環が生まれてしまうのです。
唇を閉じないでいると上下の前歯の間に隙間が開くことの原因にもなります
奥歯はしっかりと噛んでいるのに、上下の前歯の間に隙間が開いてしまう状態、これも口が閉じないということができるのではないでしょうか。
この状態は「開咬(かいこう)」、オープンバイトとも言います。
遺伝的要素が関係している場合もあると言われていますが、そうではない後天的に生じる場合もあります。
これにも、実は唇を閉じないでいることが関係しているようです。
後天的に開咬になってしまう場合、やはり多くの方ではいつでも口をポカンと開けているケースが多いようですが、それに加えて舌の動きの癖も関係しているようです。
歯を前側から支える力が唇によって与えられないことに加え、舌で前歯を押してしまう癖が強い方に開咬は多くみられています。
例えていうなら、壁に垂直に設置されている左右2枚の押し扉が、一方からの空気圧で押されて傾き、左右の扉の間に隙間が開いてしまった状態ということになるでしょう。
一度開咬の状態になってしまうと基本的には矯正等の治療が必要になるのはもちろんですが、それと同時に舌で歯を押してしまう癖を何とか改善することも必要になります。
開咬は奥歯だけでなく顎の関節にも悪影響を及ぼします
開咬の状態になってしまうと、食べ物を前歯で噛み切ることができず、常に奥歯を使うことになります。
それにより、奥歯に常に負担がかかることはもちろんですが、これに伴い顎の関節にも良くない影響を及ぼします。
また、口を閉じているつもりでも常に前歯の隙間から舌が見えてしまうなど、見た目にも影響するため、開咬の原因となる舌の癖があれば修正するとともに、歯並びを改善することをおすすめします。
開咬を改善するには大きく分けて2通りあり、一つはセラミッククラウンを用いた方法、もう一つは器具を用いることによる歯列矯正があります。
必要に応じて、奥歯の噛み合わせの調整を行った後、前歯の施術を行います。
オールセラミックで施術する場合は、元の前歯を削り、場合によっては神経を抜いて土台を造り、そこにセラミックで作られたクラウンを被せていきます。
セラミッククラウンの場合は、人から見える前歯自体がとてもきれいになるので、見た目も改善されるでしょう。
歯列矯正の場合、器具を用いて少しずつ歯を動かす方法なので、セラミッククラウンを用いた場合よりも改善までに時間がかかります。
- 関連記事:人から見えない歯科矯正は3種類|自分に合う方法を見つけよう!
- 矯正の方法にはさまざまな種類があり、人から見えにくい・外からはわかりにくい矯正方法を選択することもできます。
(まとめ)歯並びと口が閉じないこととは関係があるのですか?
いつでも口呼吸している、口を開けっ放しにしていると、特に前歯の生える方向に影響し、さらに口が閉じにくくなります。
上下の前歯がかみ合わない状態はそれに加え、舌で歯を押す力がいつでも作用していることが原因となって起こります。
前歯は唇と舌から加わる力で、生える向きが調整されています。
口をいつも開けていると、前歯の表側と裏側にかかる力に不均衡が生じ、前歯が前方へ傾きます。
そうなると唇がさらに閉じにくくなるという悪循環が生じてしまいます。
奥歯は噛みしめているのに上下の前歯がかみ合わない「開咬」も、口を開けっ放しにしていることに加えて、舌で前歯を押してしまう癖が影響しています。
一旦開咬の状態になると、矯正などによる治療が必要になります。
開咬は見た目にも、また歯や顎に対して機能的にも良くない影響をもたらすので、改善することをおすすめします。
その方法には、オールセラミックを使う方法と、器具を用いた歯列矯正とがありますが、後者の方が時間がかかる可能性があります。