下の親知らずを抜歯すべきタイミング|抜歯後の痛みや生活への影響は?

下の親知らずを歯科で抜歯!抜歯後の痛みや生活への影響は?
親知らずは位置的に虫歯になりやすく、人によっては真っすぐ生えてこないといったトラブルが起きやすい歯です。
特に下の親知らずは横向きや斜めに生えやすいため、状態によっては早めに抜歯したほうがいい場合もあります。

この記事では、下の親知らずを抜歯したほうがいいケースや、抜歯後の痛みなどについて詳しく解説します。

自分の親知らずの状態と照らし合わせ、抜歯すべきか否か判断する際に役立つ情報をまとめているので、最後までご覧ください。

そもそも親知らずとは?

親知らず(智歯)とは、口の中の一番奥に生える、前歯から8番目の歯の第三大臼歯のことです。
通常、10代後半から20代前半に生えてきます。幼少期とは異なり、親が生え始めを知らないことから「親知らず」と呼ばれています。

親知らずは、全て生えれば上下左右に1本ずつの計4本が生えてきます。歯が斜めや横になって生えてくることもあり、半分が歯茎に埋まった状態のままの人、親知らず自体がない人もいます。

下の親知らずは抜いたほうがいい?

下の親知らずは抜いたほうがいい?
「親知らずは生えてきたら抜くもの」というイメージがありますが、実際は抜かなく済む場合もあります。
真っすぐきれいに生えていて、噛み合わせにも問題がなければ無理に抜く必要はないでしょう。

親知らずを抜いたほうがケースは以下の通りです。

① まっすぐに伸びる見込みがない
② 親知らずや手前の歯が、虫歯や歯周病になっている
③ 親知らずによって歯並びに影響が出る
④ 親知らずが噛み合わない

親知らずは最後に生える歯のため、すでにスペースがない場合はまっすぐに生えてこないケースがあります。
横向きや斜めに生えるだけでなく、骨の中に埋もれたまま出てこないことも少なくありません。
その場合は歯磨きが難しくなり、虫歯や歯周病につながるため早めの抜歯が必要です。

すでに虫歯や歯周病になっている場合も、もちろん抜歯を検討したほうがいいでしょう。
また、親知らずと手前の歯の間に食べ物がはさまることで、手前の歯も虫歯になりやすくなります。

ほかにも親知らずが原因で歯並びを悪くなる場合やうまく噛み合わない場合も抜歯が必要です。

年齢が若いほうがアゴの骨が太くないため、抜歯の負担も軽く済みやすい傾向です。
親知らずのトラブルは放置せず早めに対処しましょう。

下の親知らずを抜くべきタイミング

下の親知らずを抜くべきタイミング
親知らずを抜いたほうがいいとわかっていても、最適なタイミングは存在します。
ここでは下の親知らずを抜くべきタイミングをいくつか確認してみましょう。

虫歯になっている

親知らずが虫歯になっていて神経にまで達しているような場合は、抜歯するべきタイミングです。
親知らずを抜けば、手前の歯も虫歯にかかりにくくなります。

痛みがある

親知らずの痛みの原因は人によってさまざまです。
虫歯による痛みや生えてくる時の痛みもあります。

場合によっては中途半端に生えてきた親知らずの炎症も起こり得ます。
もし痛みが続くようであれば抜歯を検討しましょう。

一部分しか出てこない

親知らずが少しだけ生えているが、これ以上まっすぐ伸びる見込みがない場合も、抜歯をするタイミングです。
きちんと生え切らないと、虫歯や歯周病の原因となります。

歯ブラシが届きにくい

親知らずは口腔内の一番奥の位置にあるため、歯ブラシが届きにくく磨き残しが起きやすくなってしまいます。また、親知らずが横向きや斜めに生えるなど「生え方の違い」によっても、食べ物が歯の間に挟まりやすくなります。歯茎に汚れがたまると、歯周病や虫歯、口臭の原因につながるのです。

そのため、親知らずを抜歯する検討が必要になることもあります。

横向きに埋まっていて前方の歯に障害を与えている

横向きに生える親知らずは、前方に生えている歯を横方向に押してしまいます。そのため、圧迫されて前歯などの歯並びが悪くなることや、アゴの骨・歯茎に悪影響を及ぼす原因になることがあるのです。

歯並びに悪影響が出ている

アゴが小さくて生える場所がなくても、親知らずは生えてこようとします。そのため、今生えている歯に力が加わり、大人でも年々歯並びが悪くなっていくことがあるのです。

また、歯列矯正後に生えてこようとしている親知らずが原因で、歯並びが悪くなってしまうこともあります。そのような場合の大半は、親知らずを抜歯することになります。

腫瘍や嚢胞の原因になっている

下アゴの親知らずには歯原性疾患が発生しやすく、歯牙腫や口腔がんなどの腫瘍、歯根嚢胞、粘液嚢胞などの嚢胞ができることがあります。
腫瘍や嚢胞が親知らずの下にできている場合には、検査や治療のために抜歯をしなければならないケースもあるのです。

下の親知らず抜歯の痛み

ここでは痛みが気になって抜歯が怖いという方のために、下の親知らずを抜歯した際の痛みについて解説します。

抜歯中の痛み

抜歯は、麻酔をしっかり効かせた上で施術を行いますので、抜歯中の痛みはほとんどありません。
ぐいぐい引っ張られる感覚はありますが、耐えきれないほどの痛みを感じないでしょう。

うまく抜けなくて抜歯が長引く場合は、麻酔を追加することもあります。

抜歯後の痛み

抜歯の痛みは、麻酔が切れた後にやってきます。

基本的には、「抜歯にかかる時間が短いほど痛みは弱く、長いほど痛みは強くなる」傾向です。
特に、骨の中に埋もれている親知らずを抜いた場合は、痛みや腫れが強くなります。

もともと下の歯は上の歯に比べると骨が硬く、根の近くに太い神経が通っているため、抜歯後の痛みが比較的出やすいです。
抜歯後には鎮痛剤が処方されますので、我慢せず服用しましょう。

また、抜歯後の痛みで注意したいのがドライソケットです。
通常、歯が抜けた穴(抜歯窩)には、ブヨブヨした「血餅(けっぺい)」という血のかたまりができて、それが傷口の治癒に重要な役割を果たします。

しかし、強いうがいや舌での刺激などで血餅がはがれてしまうと、炎症を起こした骨が露出したドライソケットになってしまいます。
抜歯後、数日経過してから痛みが強くなった場合は、ドライソケットの可能性がありますので、早めに診察を受けましょう。

親知らず抜歯後の痛みはいつまで続くか

抜歯後の痛みは、当日がピークで、その後は徐々に落ち着いていきます。
まっすぐ生えていた親知らずをスムーズに抜いた場合は、抜歯後1日~2日くらいで鎮痛剤を使わなくても済むことがほとんどです。

一方、骨を削ったり歯茎を切開したような場合はその分痛みの期間も長引きます。
場合によっては1~2週間程度かかることもあるでしょう。

また、ドライソケットになっている場合は、2週間以上痛むこともあります。
特に、抜歯後数日経過してから痛みが強くなった場合は、ドライソケットの可能性を疑いましょう。

抜歯後の生活への影響

抜歯後は、生活をする上で気をつけたいことがいくつかあります。

当日は血のめぐりを良くするような運動や飲酒、入浴を控えることが大切です。
また、タバコも傷の治りを悪くしますので、抜歯後1週間は避けることが推奨されています。

抜歯後の歯磨き

抜歯後の歯磨きは、必ず麻酔が切れてから行います。
ただし、当日はなるべく刺激を与えないほうがいいため、抜いた側の歯を無理に磨く必要はありません。
不快感が気になる場合は、軽くうがいをしてください。

この時気をつけたいのが、「うがいはあくまで弱く、そっと行う」ことです。
強いうがいをしてしまうと、せっかく傷口にできた血餅がはがれて、ドライソケットを引き起こします。

舌先で血餅を触るのもNGです。

抜歯するために歯茎の切開が必要だった場合には、縫合した傷口の糸にも注意しましょう。
縫合に使用する糸には、汚れが付きにくいナイロン糸を使用する場合が多いです。しかし、ナイロン糸は滑りやすいために結び目が緩みやすい特徴があり、糸が取れる可能性があります。

傷口がまだ開いている状態で糸が取れてしまうと、傷口から細菌に感染して傷跡が残ります。ひどい場合には骨髄炎などになったりすることもあるため、注意が必要です。

抜歯後の食事

麻酔が切れたら、普通に食事をとれます。
念のため、刺激の強い酢の物や辛いものは避けたほうがいいでしょう。

歯の抜けた穴に食べ物が詰まってしまうことがありますが、無理に出そうとするとドライソケットの原因となります。
そのため、なるべく気にしないでおくのが一番です。

抜歯後の食事にはいくつかの注意点があります。

■抜歯した当日は治療痕を傷つけない食事をする
抜歯後は患部がデリケートなため、おかゆや雑炊などの軟らかいものを食べるようにしましょう。

■数日~数週間後は徐々に普通の食事に戻す
抜歯後数日は痛みがある可能性があるため、いきなり通常の食事をせずに、様子を見ながら徐々に普段通りの食事に戻しましょう。

■硬い食べ物やとがった食べ物は治療痕を傷つけるため注意
抜歯した部分を傷つけてしまうような、硬い食べ物やとがった物は避けるようにしましょう。せんべいやポテトチップス、魚の小骨など、普段なら気にならないような食べ物にも注意が必要です。

■香辛料は炎症をひどくさせてしまう
香辛料を使った刺激のあるものは、傷にしみて痛みが出たり、炎症が起きることもあります。香辛料には、血流を良くするなどの成分が入っているものもあり、傷口が開くこともあるため避けたほうが無難です。

■アルコール類は傷口が開く恐れがある
アルコールも香辛料と同様に血流を良くする効果があり、出血してしまうことがあります。

抜歯後の腫れのピーク

下の親知らずを抜くと、場合によっては歯茎が腫れることがあります。
特に、骨に埋もれていて抜歯に時間がかかったような場合は、腫れも強く出ることが多い傾向です。

腫れのピークは、抜歯から2~3日後がピークで、その後は1週間~10日ほどかけて徐々に落ち着いていきます。
1週間以上経過してもまったく腫れが引かない場合は、細菌感染を起こしている可能性があるため、早めに診察を受けましょう。

氷などで軽く冷やすのも良いですが、キンキンに冷やしすぎると血行が悪くなって治りが遅くなってしまうため、注意してください。

親知らず抜歯手術の費用

親知らずを抜歯するには、費用がどのくらいかかるのか?保険は適用されるのか?など、気になる人も多いでしょう。

下の親知らずが真っすぐ生えていて簡単に抜歯できる場合なら、相場は1,500円~2,500円程度です。
しかし、保険適用外の抜歯や親知らずが完全に歯茎の中に埋まっている場合には、ただ歯を抜くだけではなく切開する必要もあるため、高額になる場合もあります。

親知らずの費用についての詳しい内容は、以下の記事で詳しく知ることができます。
>親知らず抜歯の治療費相場|費用の総額や内訳、高くなるケースなどを紹介

親知らず抜歯手術の疑問

親知らず抜歯手術の疑問
親知らずの抜歯が必要な場合には、手術に対する噂や疑問について知っておくと、手術に臨むときの気持ちも違ってくるでしょう。

1日で手術は終わるか

歯の抜き方にもよりますが、基本的に手術は1日で終わります。
簡単な抜歯の場合は15~30分程度で終わり、麻酔や消毒などを含めれば、約1時間で完了します。

手術自体は1日で終わりますが、その後抜歯した箇所の消毒や抜糸のためには通院が必要です。

病院によっては、初診で即日抜歯が可能であるところもあります。しかし、口腔内の状態によっては当日に抜歯が不可能なこともあるので、抜歯するまでに時間がかかる可能性があることを知っておきましょう。

親知らずを抜くと小顔になるのか

「親知らずを抜くと小顔になる」という噂が存在し、この噂が気になっている人もいるでしょう。実際に、親知らずを抜くことで、ごく稀に顔の大きさに変化が表れる人もいます。

親知らずの抜歯によって小顔になる可能性がある人は以下の通りです。

  • エラが張っている
  • 頬骨が出ている
  • アゴ回りの筋肉が発達している
  • 20歳頃に抜歯した
  • この特徴が当てはまっていても、小顔になることは珍しいです。しかし、抜歯したことにより炎症などによる腫れが引いたために小顔になったと錯覚することもあります。
    また、抜歯によって頬の筋肉が少なくなることによっても小顔になったように感じられます。

    自分に小顔効果があるかどうかは個人差があるため、気になる人は歯科医に尋ねることをおすすめします。

    (まとめ) 下の親知らずを歯科で抜歯!抜歯後の痛みや生活への影響は?

    1. そもそも親知らずとは?

    親知らず(智歯)とは、口の中の一番奥に上下左右に1本ずつ生える歯のことで、10代後半から20代前半に生えてくるのが一般的です。

    歯が、斜めになっていたり横になっていたりすることで、生えてこないケースや半分が歯茎に埋まった状態のままの人、親知らず自体がない人もいます。

    2. 下の親知らずは抜いたほうがいい?

    今現在まっすぐきれいに生えている親知らずを抜く必要はありませんが、親知らずは一生のうちで何らかのトラブルを起こす場合がほとんどです。

    虫歯になったり、まっすぐ伸びてこなかったりする場合は、なるべく早めに抜歯を検討しましょう。
    年齢が若いほうが抜歯しやすく、回復も早いことが多いといわれます。

    3. 下の親知らずを抜くべきタイミング

    「親知らずや手前の歯が虫歯・歯周病になった時」「痛みがある時」「一部分しか出てこない時」などが、下の親知らずを抜くべきタイミングです。

    親知らずは歯磨きしにくく、虫歯になりやすい歯ですので、無理に治療するより抜いたほうが後でトラブルを起こさずに済みます。

    親知らずの影響で歯並びが悪くなっている場合や、うまく噛み合わないことで親知らずが伸び続けているような場合も抜歯が必要です。

    4. 下の親知らず抜歯の痛み

    痛いイメージのある親知らずの抜歯ですが、抜歯中は麻酔が効いているため痛みはほとんどありません。

    麻酔が切れた後は人によって痛みが出ます。
    下の親知らずは、上に比べて骨や神経の関係から痛みが出やすい傾向です。
    特に、抜歯に時間がかかった人ほど痛みが長引きやすくなります。

    また、歯の抜けた穴をふさぐ血のかたまり(血餅)が取れると、骨が露出する「ドライソケット」という状態になり、強い痛みが長引きますので注意が必要です。

    5. 抜歯後の生活への影響

    抜歯の直後は、飲酒や運動、入浴などの血行を良くする行動を控えましょう。
    タバコも傷の治りを悪くするため注意してください。

    歯磨きの際は血餅をはがさないように行い、強いうがいを避けましょう。
    食事は普通にとれますが、なるべく刺激物は避けて抜歯した穴に入った食べ物を無理に取らないことが大切です。

    6. 親知らず抜歯手術の疑問

    親知らずの抜歯手術は1日で行うことが可能ですが、抜歯した箇所の消毒や抜糸のために通院が必要になります。
    初診当日に手術することも歯科医院によっては可能です。

    親知らずの手術によって小顔になれる人はごくわずかで、抜歯したことにより炎症などによる腫れが引いたために小顔になったと錯覚する人もいます。

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