歯髄細胞バンクとは|再生医療やメリット・デメリットについて解説

歯髄細胞バンクとは|再生医療やメリット・デメリットについて解説再生医療は「幹細胞」と呼ばれる特殊な細胞を使用し、病気やけがで失われた組織や機能を回復する医療のことです。

幹細胞は骨髄や脂肪などに含まれますが、歯の中のある歯髄(しずい)にも含まれています。
そのため将来の再生医療の進展に期待し、あらかじめ歯髄から幹細胞を採取して保管されるようになりました。

歯髄細胞バンクとは

歯髄細胞バンクとは

歯髄細胞バンクの運営は、診断薬や治療薬の開発を行う大学発ベンチャー「ジーンテクノサイエンス」の子会社「セルテクノロジー」が行っています。
歯髄幹細胞の保存を行っている企業はほかにもありますが、「歯髄細胞バンク」は同社の登録商標です。

歯髄細胞バンクでは、抜けた乳歯や抜歯した親知らずを利用者から預かり、良質な幹細胞を採取。幹細胞は培養して数を増やし、検査で問題がないことを確認したうえで凍結保管します。
こうして再生医療で活用できる日を待つのです。

幹細胞を利用した再生医療とは

幹細胞には2つの特徴があります。分裂して数を増やしていく「自己増殖能」と、さまざまな組織や臓器の細胞へと変化する「多分化能」です。
この働きを使えば、傷ついた骨や血管、神経、臓器などを修復できる可能性があります。
また、このような幹細胞の働きを利用するのが再生医療の手法です。

国も法律を制定し、再生医療の実用化を後押ししています。
そのためすでに一部の技術が実用化されるなど研究も進んでいます。

歯随幹細胞を使った再生医療の実用化と普及が進めば、治療が難しかった病気の早期治療が期待できるでしょう。
ほかにも目や耳、手足などの機能を回復したりすることも可能になるかもしれません。

歯髄細胞バンクのメリット

歯髄バンクを行っているセルテクノロジーの親会社、ジーンテクノサイエンスは再生医療の開発も事業の一環です。
現在、臨床試験などは行われていませんが脳性マヒや脊髄損傷などの治療の研究を行っています。
そのため、将来的には歯髄細胞バンクを通じて治療を受けられる可能性もあるでしょう。

幹細胞は骨髄や臍帯血などからも採取できますが、脊髄からの採取は体への負担が大きく、入院も必要です。
また、臍帯血は妊婦からしか採取できません。
その点、歯髄細胞は歯が抜けたとき、抜歯したときに採取が可能です。

加えて歯髄幹細胞は増殖能力が非常に高いといわれています。
これは堅い歯に保護されているからではないかと考えられているようです。
そのためバンクに幹細胞を保管しておけば、将来再生医療を受けるときにいつでも自分の細胞を使うことができます。
ほかにも拒絶反応などのリスクを抑えることも可能でしょう。

歯髄細胞バンクのデメリット

夢のある再生医療ですが、リスクも当然ながらあります。
まずは、治療が必要になったときに、まだ治療法が確立されていない可能性があることです。
預けた幹細胞が自分の役に立つかどうかは、今の時点ではわかりません。

しかし医療の進歩には何かしら役に立つことは間違いないため、そこをメリットと捉えるのか、保険と割り切って考えるかは個人の判断となります。

また、幹細胞の採取は歯が抜けてから48時間以内に行わなければなりません。このため、あらかじめバンクに歯を送るための専用容器を取り寄せておくか、バンクと提携している歯科医院で治療を受ける必要があります。

幹細胞は乳歯からでも永久歯からでも採取できますが、年齢を重ねるごとに幹細胞は減少します。
加えて虫歯によって幹細胞がダメージを受けることもあるでしょう。
歯の状態によっては、幹細胞を採取できないことも想定されます。

民間会社の事業ですので、万が一倒産したときに、保管されていた幹細胞がどうなるのかを心配する方もいるでしょう。同社では、その場合「責任をもって細胞を第三者機関に委託する」としています。

歯髄細胞バンクの費用

導入の際には費用についても検討する必要があります。
幹細胞は、マイナス150度以下の液体窒素タンクの中で長期間凍結保管されるため、高額な費用がかかります。

しかし、費用は良質な幹細胞を採取して培養、保管を始めたときから発生します。
もし幹細胞を採取できなかった場合や培養しても問題があって保管できなかった際は費用がかかりません。

保存を開始したときは、登録料や培養料、検査料、10年間の保管料を加味して歯1本につき30万円かかります。
保管してから10年後以降は、10年単位で更新され、歯1本につき12万円が必要です。

歯髄細胞バンクの評判

歯髄細胞バンクについては、まだまだ知名度が低く、提携している歯科医院も少ないようです。
同社のホームページによると「将来、子供が病気やけがなどをしたときの保険」として利用する親や祖父母が多いようです。

提携クリニックでは、パンフレットなどに関心を示す人が多く、歯髄幹細胞の活用方法や再生医療の今後などについて注目を集めていることがうかがえます。

歯髄細胞バンクに預ける方法

歯髄細胞バンクへの申し込みはセルテクノロジーのホームページ(歯髄細胞バンク・献歯お申込み)から行います。申し込みフォームに必要事項を記入して送信すると、担当者から電話かメールで連絡があり、詳細な申し込み内容などが確認できす。

その後、提携先の歯科医院で抜歯をする場合は、診療の予約を自分で行ってください。歯を直接バンクに送付する場合は専用容器が送られてきます。歯を送付する場合は、48時間以内に施設で幹細胞を採取する必要があるため、抜歯した後は速やかに歯を送りましょう。

また提携歯科医院で抜歯した場合は、治療した後に同意書に必要事項を記入するだけで済みます。

幹細胞の培養が可能かどうかは、10日間ほどで判断されるので、その時点で契約を結びます。
その後、1カ月間ほどかけて培養されますが、培養した後の検査で問題が判明することもあります。
そのときは保管料などが全額返還されるか、改めて別の歯から幹細胞を採取することとなります。
その際に再採取しても、追加料金などはかかりません。

(まとめ) 歯髄細胞バンクとは|再生医療やメリット・デメリットについて解説

1.歯髄細胞バンクとは

将来の再生医療の実用化に備え、抜けた乳歯や抜歯した親知らずなどから採取した幹細胞を培養、保管してくれるサービスです。
医療ベンチャー企業の「セルテクノロジー」が行っています。培養された幹細胞は、マイナス150度の液体窒素の中で保存され、治療などに活用される日を待ちます。

2.幹細胞を利用した再生医療とは

幹細胞には自ら増殖し、骨や血管、神経、臓器の細胞などに変化する能力があります。
この能力を使えば、今は治療が難しい病気の治療法の開発、事故や病気で損傷した神経や身体機能の回復につなげられる可能性があります。
世界各国で研究が進められており、日本でも国が法律を制定して実用化を後押ししています。

3.歯髄細胞バンクの費用

歯髄細胞バンクに幹細胞を預けるには、1本につき10年間で30万円の費用がかかります。
費用の内訳は登録や培養、検査、10年間の保管料があげられます。
保管から10年後からは、10年単位で歯1本につき12万円が必要です。

4.歯髄細胞バンクに預ける方法

申し込みはセルテクノロジーのホームページから行います。幹細胞を採取できなかったとき、培養しても問題があり保管できなかったときは、費用は請求されません。
その場合は、改めて歯髄から幹細胞を採取することも可能です。
なお再採取に追加費用は必要ありません。

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