歯には食べかすなどの落としやすい汚れから、歯石やステインまでさまざまな汚れが付きます。
特にセルフケアで落とせない汚れを除去するのにおすすめしたい方法がPMTCです。
PMTCは歯科医院で行う口の中のクリーニングです。
ここでは普通のクリーニングとどのように違うのか、流れや料金についてまとめました。
歯の健康に役立つ「PMTC」とは
PMTCとはスウェーデンの歯科医師が提供した予防歯科医療の施術です。
『Professional Mechanical Tooth Cleaning』の頭文字をとってPMTCと呼びます。
直訳すると専門的機械歯面清掃という意味です。
その名前からもわかるように専門器具を使ってプロが徹底的に歯の汚れを除去します。
PMTCの目的
虫歯や歯周病を予防するためには、その原因であるプラークを取り除くことが必要となります。
毎日行う歯磨きはプラークコントロールに最適なケア方法です。
しかし、構造的にどうしても歯ブラシが入らない場所もあるため、どんなに丁寧に歯を磨いたとしてもプラークは残ります。
また、残ったプラークはより落とすのが難しいバイオフィルムとなり、徐々に歯石へと変わっていきます。
歯石になってしまうとセルフケアでの除去は難しいでしょう。
プラークや歯石は虫歯や歯周病の原因になるだけでなく、口臭の発生源にもなります。
ざらざらとした歯石はコーヒーやたばこのような着色汚れとなるステインが付着しやすくなるでしょう。
- 関連記事:歯がオレンジ色になる原因|黄ばみはホワイトニングで落とせるのか
- ステインは、たばこやコーヒー以外にも様々なものに含まれています。
そのため、見た目の美しさの点からもプラークコントロールが重要です。
PMTCでは歯科医師や歯科衛生士が専門の器具や技術を駆使することによって、ほぼ完璧といえるレベルまで汚れを落とします。
PMTCの効果
歯石の除去や歯面清掃は歯周病の治療でも行われます。
これらの治療とPMTCの違いはPMTCがあくまで予防として行われる点です。
歯周病や虫歯の治療であれば病気の進行を止めることが目的です。
しかし、PMTCの場合は口内がもともと健康な人が受けるため、病気の予防だけでなくステインの除去など審美面の効果も期待できます。
PMTCで歯科に通う頻度
PMTCは自由診療になるため、頻度に決まりはありません。
歯の汚れが付きやすい人や気になる人なら2~3ヵ月に1回程度が目安です。
汚れが付きにくい人であれば3ヵ月~6ヵ月に1回程度が目安となります。
汚れの付きやすさは、体質や生活習慣によって異なるため、歯科医師と相談して自分に合ったペースで通うようにしましょう。
PMTCの料金相場
PMTCは自由診療になるため、歯科医院によって価格は異なります。
多くの歯科医院では1万円~1万5,000円くらいで行っていることが多いでしょう。
安価で提供している歯科医院もあるかもしれませんが、使用する器具やメニューが違うこともあります。
どの程度の価格でどんな施術が受けられるのかは、事前に歯科医院のホームページなどで確認しておきましょう。
PMTCの保険適用について
PMTCは予防治療であり、病気の治療や機能回復を目的にしていません。
そのため、保険の適用外となります。
保険診療で行われるのは、歯槽膿漏や歯ぐきの炎症といった病気の治療を目的とした歯石除去です。
保険診療でも歯の表面を磨くポリッシングを行うことはありますが、細かい部分までは行いません。
PMTCの場合は、保険診療では使わないような特殊な器具も使って細部まできれいにします。
- 関連記事:PMTCにデメリットは主に3つ
- 歯科医師や歯科衛生士などのプロが専門の技術を駆使して歯を美しく保ってくれます。しかし、PMTCには注意点があります。
PMTCの内容
まず歯科医師が歯と歯肉の状態をチェックし、その後専用の薬液を使ってプラークを染めだします。
磨き残しがあれば濃く染まるため、患者もどういった箇所が磨けていないのか視覚的な確認が可能です。
次にスケーラーを使って歯石を除去していきます。
汚れを落とすことのメリットは見た目だけではありません。
研磨剤を使って歯の表面を滑らかにすることでプラークやステインが付きにくくなります。
汚れにくくなることで自分で口腔内を清潔に維持しやすくなるでしょう。
最後に歯の表面をフッ化物でコーティングすることで虫歯を予防します。
PMTCとスケーリングの違い
PMTCではスケーラーといった器具を使って歯石を除去します。
そのため、保険の適用ができるスケーリングと混同されることもあるでしょう。
PMTCとスケーリングはどこが違うのでしょうか。
スケーリングとは
スケーリングとは歯に付いたプラークと歯石を除去することをいいます。
歯の状態を確認してからハンドスケーラーや超音波スケーラーを使ってこびりついた歯石をこそぎ落とします。
保険適用でのスケーリングは、歯周病悪化の原因となる歯石を除去する歯石取りが行われます。
PMTCとスケーリングはどちらを選べば良いのか
PMTCでのクリーニングは自由診療にはなりますが、短期間でも集中して歯をきれいに磨き上げることができます。
保険適用のスケーリングの場合は、何回かに分けて施術することになるため、忙しい人は自由診療のPMTCで一気にきれいにしたほうが良い場合もあります。
また、歯槽膿漏になりやすい、口臭が強いなど、口腔環境が良くない人はPMTCで徹底的にきれいにすることがおすすめです。
ホワイトニングを検討している人であれば、PMTCで歯をつるつるにしてから行うと、より効果が長持ちするでしょう。
「注意点」PMTCを行っていない歯科もある
PMTCは審美面での効果も高く、予防治療としても優れた施術ですが、どの歯科医院でも行っているわけではありません。
PMTCは専門性が高い治療で、予防治療や歯の構造など幅広い知識が求められます。
そのため、きちんとトレーニングを受けた歯科衛生士でないと正しい施術を行うことはできません。
近くにPMTCを行っている歯科医院がないという人もいるでしょう。
そのような場合は、審美歯科に力を入れている歯科医院を探してみましょう。
またPMTCなら数か月に1度でも十分に歯をきれいにできるので、遠方に出向いて施術を受ける方法も検討できます。
(まとめ) 歯のクリーニングPMTCとは|歯科での料金・保険・効果について紹介
PMTCは歯科院で受けることができる専門的な歯のクリーニングを指します。
スウェーデンの医師が提唱した予防治療で、プラークや歯石を除去することで虫歯や歯周病を防ぐ効果が期待されている方法です。
PMTCは歯科医院によって価格が違い、多くは1万円~1万5,000円前後で行われています。
所要時間は1時間〜1時間30分程度です。
歯科医院ごとに使用する機械や薬液、内容に違いがあります。
30分程度で受けられるPMTCや、よりリーズナブルなPMTCを提供する歯科医院もありますが、メニューが違うことがあるため、選ぶときはPMTCの内容まで比較するようにしましょう。
まずは歯や歯ぐきの状態の観察からスタートしてブラッシングや口腔衛生指導を受けます。
歯石がある場合はスケーラーを使って除去を行います。
さらに専用の研磨剤やチップを使って歯の隙間や表面を磨いていきます。
最後にフッ素を塗りますが、歯科医院によってはトリートメント剤を使用することもあります。
PMTCはすでに発生した病気や機能回復を目的とした治療ではないため、保険適用にはなりません。
保険適用のクリーニングは歯周病治療の一環として行われるため、歯や口腔内にトラブルがある場合に受けることができます。
また保険適用のクリーニングは数回通院が必要ですが、PMTCは自由診療なので、1回の施術で完了することもできます。
そのため、忙しい人や歯の見た目が気になる人にもおすすめの施術方法です。