この記事の監修者

監修者 前田 純 歯科医師
歯科統括院長
前田 純歯科医師
歯科医師。2009年3月奥羽大学歯学部歯学科卒業。同大学歯学部附属病院にて勤務のあと、2012年4月から一般歯科クリニックにて勤務。2016年4月から湘南美容歯科大阪心斎橋院にて勤務を開始し、2019年10月より湘南美容歯科統括院長就任。

「妊娠してから歯が痛い」「妊婦は虫歯になりやすいって本当?」と不安に感じている方は多いのではないでしょうか。

実際、妊娠中は心身の変化にともない、虫歯や歯周病といったお口のトラブルが発生しやすい状態になります。また、お口のトラブルを放置すると、母体だけでなくお腹の赤ちゃんにも影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。

本記事では、妊娠中に虫歯になりやすい理由をはじめ、胎児への影響、歯科治療を受ける適切なタイミング、そして効果的な予防法について詳しく解説します。これから妊娠を考えている方や、現在妊娠中で歯の健康が気になっている方は、ぜひ参考にしてください。

妊娠中に虫歯になりやすい理由とは

妊娠中はお口のなかの環境が大きく変化するため、普段よりも虫歯や歯周病のリスクが高まります。その主な理由として、以下の3つが挙げられます。

ホルモンバランスによる影響

妊娠すると、エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンの分泌が急激に増加します。

実は、一部の歯周病菌はこれらの女性ホルモンを栄養源として増殖する性質を持っています。そのため、妊娠中は歯肉炎や歯周病(妊娠性歯肉炎)にかかりやすくなるのです。

さらに、妊娠中は免疫力が低下しがちであり、お口のなかの細菌に対しても抵抗力が弱まるため、虫歯菌も増殖しやすい環境となってしまいます。

唾液の分泌量の低下

唾液には、酸性に傾いたお口のなかを中和する作用や、食べカスなどの汚れを洗い流す自浄作用、そして初期の虫歯を修復する再石灰化作用があります。

健康な状態のお口は、この唾液の分泌量が十分です。しかし妊娠中は女性ホルモンの変化や自律神経の乱れなどの影響で、唾液の分泌量が減少しやすくなります。お口のなかが乾燥して唾液のバリア機能が低下することで、虫歯や歯周病が生じやすくなってしまうのです。

つわりによる口内環境の悪化

妊娠初期に多く見られるつわりも、お口の環境を悪化させる大きな要因です。歯ブラシを口に入れるだけで嘔吐反射が起きたり、吐き気をもよおしたりすることが増えるため、十分な歯磨きができずプラーク(歯垢)が溜まりやすくなります。

また嘔吐を繰り返すと、強い酸性である胃酸が逆流し、歯の表面のエナメル質を溶かして弱くしてしまいます(酸蝕症)。

さらに、食べ物を少しずつ何度も食べる食べづわりになったり、酸っぱいものを好んで食べたり、食習慣や嗜好が変化することも虫歯リスクを高めます。

妊娠中の口内トラブルによる胎児への影響

「たかが虫歯・歯周病」と放置してしまうと、妊婦さん自身の健康だけでなく、お腹の赤ちゃんにも悪影響を及ぼす恐れがあります。以下で主な胎児への影響をチェックしてみましょう。

早産・低体重児出産の可能性

特に注意が必要なのは歯周病です。妊娠中に歯周病が進行して炎症が強くなると、炎症を引き起こす物質(プロスタグランジンなど)が血流に乗って全身を巡ります。この物質は子宮の収縮を促す作用があるため、陣痛に似た状態を引き起こし、早産や低体重児出産のリスクを著しく高めると言われています。

元気な赤ちゃんを産むためにも、お口の炎症を抑えることは非常に重要です。

母子感染の可能性

生まれたばかりの赤ちゃんの口腔内は、本来無菌状態であり、虫歯菌は存在しません。しかし、母親(または父親など周囲の大人)に虫歯があると、生後のスキンシップや、スプーン・箸などの食器の共有を通じて、赤ちゃんに虫歯菌がうつってしまうリスクがあります。

赤ちゃんの将来の歯を守るためにも、妊娠中から虫歯をしっかり治療・予防しておくことが大切です。

妊婦が歯科治療を受けるタイミング

妊娠中に虫歯が見つかった場合、「いつ治療を受ければいいのか」「お腹の赤ちゃんに影響はないのか」と心配になるでしょう。

妊婦さんが歯科治療を受ける場合は、妊娠中期(5〜7ヵ月)の安定期が最もおすすめです。この時期は、胎児の重要な器官形成がほぼ完了しており、母体の体調やつわりも落ち着いていることが多いため、通常の虫歯治療であれば比較的安全に受けることができます。

一方で、妊娠初期や後期は注意が必要です。

妊娠初期(1〜4ヵ月)は胎児の器官が形成される非常にデリケートな時期です。過度の緊張や痛みが負担になる可能性があるため、一般的には応急処置にとどめます。

妊娠後期(8ヵ月〜臨月)はお腹が大きくなり、診療チェアで長時間仰向けの姿勢を保つことが母体の負担になります。また、いつ陣痛や破水が起きてもおかしくない時期のため、積極的な治療は避けるべきです。

なお、妊娠中は使用できる痛み止めや抗生物質などの薬が限られますし、歯科医院によっては万が一を考慮して治療を断っているところもあります。そのため妊娠する可能性がある場合は、妊娠前に歯科検診を受け、治療を完了させておくことが最も望ましいといえます。

妊娠中の虫歯予防のポイント

妊娠中はお口のトラブルが起きやすいため、日々の予防が何よりも大切です。以下のポイントを意識して、お口の健康を保ちましょう。

無理なく・丁寧なセルフケアを心がける

体調に配慮し、決して無理はせず、できる範囲で丁寧に歯を磨きましょう。つわりで歯磨きが辛いときは、以下のような工夫がおすすめです。

ヘッドの小さい歯ブラシ・やわらかい歯ブラシを使う:奥まで入れても吐き気をもよおしにくく、刺激を抑えられます。

歯磨き粉を工夫する:香りの強い歯磨き粉は吐き気を誘発しやすいため、低刺激で香りの少ないものを選ぶか、少なめに使用します。辛いときは水磨きだけでも構いません。

体調のよい時間に磨く:朝がつらい場合は、昼食後や入浴中など、気分が比較的よいタイミングで磨くようにしましょう。

うがいだけでもおこなう:どうしても磨けないときは、食後にこまめにうがいをするだけでも汚れを落とせます。

唾液ケアで自浄作用を高める

減少した唾液の分泌を促すことも、虫歯予防に効果的です。

こまめに水分補給をしてお口のなかの乾燥を防ぐほか、キシリトール100%のガムを噛むことで、唾液腺が刺激されて分泌量が増加します。キシリトールには虫歯菌の活動を抑える働きもあるため一石二鳥です。

歯科検診を受ける

妊娠前から定期的に歯科検診を受けることで、虫歯や歯周病の早期発見・早期対処につながります。

また、多くの自治体では母子健康手帳の交付とともに、妊娠中に1回無料で歯科検診を受けられる「妊婦歯科健診」の制度を用意しています。安定期に入ったら、ご自身の体調を見ながら積極的に活用しましょう。

妊娠中でも受けられる歯科治療・避けるべき歯科治療

妊娠中に歯科医院を受診する際は、受けられる治療と避けるべき治療があります。

妊娠中でも受けられる歯科治療

安定期(妊娠中期)であれば、一般的な歯科治療は受けることが可能です。

虫歯・歯周病の治療で用いる局所麻酔薬やレントゲン撮影は、歯科用のものならば局所的であり被ばく量も極めて少ないため、胎児への影響はほぼないと考えられています。放置するリスクの方が大きいため、安定期に治療を進めましょう。

また定期検診やクリーニングで実施される歯石除去などのプロフェッショナルケアは、お口の環境を清潔に保ち、妊娠性歯肉炎を予防するのに非常に有効です。

ただし前述のとおり、胎児の器官形成期である妊娠初期や、母体への負担が大きい妊娠後期の積極的な虫歯治療は控えましょう。

妊娠中は避けるべき歯科治療

以下の治療は緊急性が低く、母体や胎児への安全性が確立されていないため、妊娠中は避けることが推奨されています。

ホワイトニング:ホワイトニングに使用する薬剤が、母体や胎児へどのような影響を及ぼすかが医学的に明確に証明されていません。そのため安全を第一に考え、妊娠中・授乳中のホワイトニングは禁忌とされています。

矯正治療:妊娠中は女性ホルモンの影響で歯肉炎になりやすく、つわりで口腔ケアも不十分になりがちです。矯正装置がついているとさらに虫歯・歯周病リスクが高まるため、妊娠中の新たな矯正治療の開始は推奨されません。

そのため、将来的に妊娠・出産をお考えの方は、ライフプランに合わせて早めに矯正治療を開始し、余裕を持って終えておくことがおすすめです。

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まとめ

妊娠中はホルモンバランスの変化やつわりの影響により、虫歯や歯周病になりやすい状態です。これらの口内トラブルを放置すると、早産・低体重児出産や将来の赤ちゃんへの虫歯菌感染といったリスクにつながる恐れがあります。

もし妊娠中に虫歯治療が必要になった場合は、体調が安定する安定期に受診することをおすすめします。しかし、妊娠中は治療に制限がかかることを覚えておきましょう。

湘南美容歯科では、自由診療による虫歯治療をおこなっております。自由診療の大きなメリットは、保険診療のルールに縛られないため、同時に複数の歯を治療し、通院回数を大幅に減らせることです。忙しい方でもスピーディーに美しい歯を取り戻せます。

ただし原則として、湘南美容歯科では母子の安全と健康を最優先に考え、妊娠中および授乳中の方の治療はお断りしております。

元気な赤ちゃんを出産し、育児に専念するためにも、そしてご自身の美しい笑顔を保つためにも、妊娠を計画されている段階でしっかりと歯科検診を受け、虫歯治療を完了させておくことを強く推奨いたします。

歯のトラブルや見た目でお悩みの方は、ぜひ妊娠前のタイミングで、お気軽に湘南美容歯科の無料カウンセリングへご相談ください。

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