この記事の監修者
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歯科統括院長前田 純歯科医師 - 歯科医師。2009年3月奥羽大学歯学部歯学科卒業。同大学歯学部附属病院にて勤務のあと、2012年4月から一般歯科クリニックにて勤務。2016年4月から湘南美容歯科大阪心斎橋院にて勤務を開始し、2019年10月より湘南美容歯科統括院長就任。
「奥歯を噛み合わせても前歯が閉じない」「口元が気になって思い切り笑えない」
こうしたお悩みの原因は、開咬(かいこう)かもしれません。開咬はオープンバイトとも呼ばれる不正咬合の一種で、見た目のコンプレックスだけでなく、咀嚼や発音、さらには将来的な歯の寿命にまで影響を及ぼすことがわかっています。
この記事では、開咬の基礎知識から主な症状・原因・放置するリスク、そして多くの方が気になる「治療後に顔はどう変わるのか」まで、歯科の根拠に基づいてわかりやすく解説します。
開咬(オープンバイト)の基本知識
開咬とは、奥歯をしっかり噛み合わせた状態でも上下の前歯のあいだに隙間が残り、前歯同士が接触しない噛み合わせのことです。日本矯正歯科学会の診療ガイドラインでは「咬頭嵌合位においてオーバーバイトの値が0ミリ以下の状態」と定義されています。
国内の疫学調査によると、開咬の発現頻度は約5.37%とされ、男子が4.67%、女子が6.10%とやや女性に多い傾向があります。決してまれな症状ではなく、見た目だけでなく全身の健康にも関わるため、早めに正しい知識を身につけておくことが大切です。
出典:日本矯正歯科学会「矯正歯科治療の診療ガイドライン(前歯部)開咬編」
開咬(オープンバイト)とは?原因と放置するリスク、湘南美容歯科での治療法を解説>
開咬の主な症状
開咬は見た目の問題にとどまらず、日常生活のさまざまな場面で困りごとを引き起こします。ここでは主な3つの症状を解説します。
顔が面長になりやすい
開咬の方は奥歯でしか噛み合わせることができず、噛み合わせの高さ(咬合高径)が大きくなり、下顎が下方に回転しやすくなります。その結果、顔全体が縦に長く見える傾向があります。
また、前歯のあいだに隙間がある状態では自然に口を閉じることが難しく、口を閉じようとすると上下の唇やあご先(オトガイ)の筋肉に余分な力を入れなければなりません。この慢性的な筋肉の緊張が、口元のこわばりや顔全体の不調和を引き起こす原因となります。
ラ行が発音しにくい
開咬は、発音にも影響を与えます。前歯のあいだに隙間があるため、舌先を上の歯の裏側に接触させて発音する音(サ行・タ行・ラ行など)が不明瞭になりやすいのが特徴です。矯正歯科の領域では、開咬によって「サ行が英語の”th”のような音に置き換わるリスピング(lisping)」や「ラ行の発音が不良となるローリング(lolling)」などの構音障害が生じることがあるとされています。
こうした発音のしにくさは、日常のコミュニケーションや仕事上のプレゼンテーションなどに影響し、お悩みの原因になることが多いです。
前歯で食材を噛み切れない
開咬の方にとって、もっとも日常的な不便の一つが前歯で食べ物を噛み切れないことです。麺類を前歯で切る、りんごやサンドイッチにかぶりつくといった動作が難しくなります。
前歯で噛めない分、奥歯だけに咀嚼の負担が集中するため、食べ物を十分に細かくできないまま飲み込むことが増え、胃腸への負担も大きくなりがちです。実際に、開咬患者は正常なオーバーバイトを有する方と比べて咀嚼能率が低いという研究報告もあり、前歯の噛み合わせが食事の質に直結することがわかっています。
開咬の原因
開咬が生じる背景には、大きく分けて「子どものときの癖」「遺伝」「疾患による口呼吸」の3つの要因があります。
子どものときの癖
開咬の多い原因の一つが、幼少期の口腔習癖です。代表的なものとしては、長期間の指しゃぶり、上下の前歯のあいだに舌を押し出す癖(舌突出癖)、唇を噛む癖(咬唇癖)などが挙げられます。
矯正歯科の分野では、指しゃぶりが開咬の原因であることが多く、期間や強さ、頻度が症状の程度に影響するとされています。口腔習癖が短期間であれば、歯の位置がずれるだけの比較的軽度な開咬で済むことがほとんどです。
しかし、癖が長期間続いた場合は顎の骨格そのものの成長に影響が及び、より治療が難しいタイプの開咬へと移行してしまいます。この移行は比較的低年齢(8〜10歳頃)で生じることがあります。
つまり、指しゃぶりや舌の癖はできるだけ早い段階でやめることが、将来の開咬を予防するうえで重要です。
遺伝
顎の骨の大きさや形は、身長や顔立ちと同じように親から子へ受け継がれることがあります。
たとえば、生まれつき下顎が下方向に長く成長しやすいタイプの骨格を持っている場合、上下の前歯のあいだに隙間が生じやすくなります。こうした骨格が原因の開咬は、癖だけが原因の場合と比べて治療の難易度が上がる傾向があるため、気になる方は早めに専門の歯科医師に相談されてください。
疾患による口呼吸
アデノイド(のどの奥にあるリンパ組織)の肥大やアレルギー性鼻炎、慢性的な鼻づまりなどで鼻呼吸がしにくくなると、口呼吸が当たり前になってしまいます。口呼吸が続くと舌が下がった位置に定着し、口まわりの筋肉のバランスが崩れることで、顎の成長や歯並びに悪影響を及ぼし、開咬の原因となることがあります。
口呼吸が開咬を引き起こし、開咬によってさらに口が閉じにくくなるという悪循環に陥りやすい点にも注意が必要です。
開咬によるリスク
開咬を治療せずに放置すると、見た目の問題だけでなく、歯や体の健康にさまざまな悪影響が及ぶ可能性があります。
もっとも深刻なのが、奥歯を失うリスクです。前歯が噛み合わないため、食事のたびに噛む力がすべて奥歯に集中します。この負担が長年にわたって続くと、奥歯がすり減ったり、欠けたり、割れたりしやすくなり、最終的に歯を失う原因になります。
東京歯科大学の調査では、80歳で20本以上の歯を保っている8020達成者の垂直的な噛み合わせを調べたところ、正常な噛み合わせが86.5%であったのに対し、開咬の方は一人もいませんでした。一般集団では開咬が約12%存在するにもかかわらず8020達成者には0%であったことから、開咬が歯の寿命に大きく影響することがわかります。
また、虫歯や歯周病になりやすくなる点も見逃せません。口が閉じにくいため口の中が乾きやすく、唾液が持つ細菌を洗い流す力が弱まります。さらに口呼吸によってウイルスや細菌を直接取り込みやすくなるため、風邪などの感染症や口臭のリスクも高まります。
噛み合わせのバランスが崩れた状態が続くと、顎の関節に偏った負担がかかり、顎関節症を引き起こす可能性も高いです。口の開け閉めのときに痛みを感じたり、カクカクと音が鳴ったりする場合は要注意です。
出典:東京歯科大学リポジトリ「Dental Prescale®を用いた8020達成者の咬合調査」
開咬治療による顔の変化
「開咬を治したら顔の印象は変わるの?」などの疑問は治療を検討される多くの方が気になるポイントです。結論からいうと、開咬の治療によって顔立ちの印象が良い方向に変わる可能性があります。
まず期待できるのが、面長な印象の改善です。 治療によって前歯がしっかり噛み合うようになると、それまで開いていた上下の顎の距離が縮まり、顔の下半分の長さが短くなることがあります。これにより、縦に長く見えていた顔のバランスが整い、面長な印象が和らぎます。
次に、口元の表情が自然になることが考えられます。 開咬があると口を閉じるために唇やあご先の筋肉に常に力を入れなければならず、どうしても口元がこわばった印象になりがちです。治療後は無理なく唇を閉じられるようになるため、口元の緊張がほぐれ、リラックスした柔らかい表情になるでしょう。
さらに、顔の輪郭がすっきりする変化も期待できます。 噛み合わせが整うと、左右バランスよく噛めるようになり、偏って発達していた顔まわりの筋肉が徐々にほぐれていきます。その結果、口元や輪郭の印象がよくなるでしょう。
開咬の治療法
開咬の治療にはいくつかの方法があり、症状の程度やご希望に合わせて選択します。ここでは3つの治療法をご紹介します。
ワイヤー矯正
歯の1本1本に「ブラケット」と呼ばれる小さな器具を接着し、ブラケットに通したワイヤーの弾力を利用して歯並びを整えていく方法です。歴史が長い矯正方法で、歯を大きく動かす必要がある重度の開咬にも対応できるのが強みです。
※当院でのワイヤー矯正のお取り扱いは終了いたしました。
近年は小さなネジ(矯正用アンカースクリュー)を顎の骨に固定し、それを支えにして奥歯を沈めるといった高度な治療もできるようになり、対応できる症例の幅が広がっています。一方で、金属の装置が目立ちやすいこと、装着中は歯磨きがしにくいことがデメリットとして挙げられます。
マウスピース矯正
透明なマウスピース型の装置を、段階に合わせて何枚も交換しながら歯を動かしていく方法です。装置が透明なので目立ちにくく、食事や歯磨きのときに取り外せるため、日常生活への負担が少ないのがメリットです。

マウスピース矯正は、奥歯を沈めながら前歯を引き出すといった上下方向の動きが得意とされており、開咬の治療との相性が良いといわれています。軽度〜中等度の開咬であれば、マウスピース矯正だけで十分な改善が期待できます。
ただし、骨格の問題が大きい重度のケースでは対応が難しいこともあるため、まずは精密検査で適応を確認することが大切です。
セラミック矯正
気になる歯を削り、セラミック素材の被せ物(クラウン)をかぶせることで歯並びを整える方法です。歯を動かす矯正とは異なり、被せ物の角度や形を調整することで見た目を改善するため、軽度であれば最短1日で治療を終えられるのが特徴です。

歯の色や形、大きさまでトータルにデザインできる点もセラミック矯正ならではの魅力です。結婚式などの大切なイベントが近い方や、長期間の矯正が難しい方に向いています。
ただし、健康な歯を削る必要があることや、噛み合わせそのものを根本的に変えるものではない点については、事前に歯科医師からしっかり説明を受けたうえで検討されることが大切です。
まとめ
開咬(オープンバイト)は、上下の前歯が噛み合わないことで面長な顔立ちや発音のしにくさ、食べ物の噛み切りにくさといった日常の困りごとを引き起こす噛み合わせの問題です。原因は子どものころの指しゃぶりや舌の癖、遺伝的な骨格の特徴、口呼吸など多岐にわたります。
湘南美容歯科では、開咬の状態やライフスタイルに合わせて、マウスピース矯正・セラミック矯正から治療プランをご提案しています。 「自分の開咬はどのくらいのレベルなのか」「治療でどんな変化が期待できるのか」など、少しでも気になることがあれば、まずはお気軽に無料カウンセリングへお越しください。
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