マウスピースの矯正についてどのくらいの期間がかかるのか気になっている方も多いでしょう。歯列矯正は基本的に長期にわたって少しずつ歯を動かしていくものです。その期間は症例や対応内容によって大きく異なります。

そこで本記事では治療期間と費用の目安、期間が長引くケースや長引かせないためのポイントについて解説します。

マウスピース矯正の治療期間と費用の目安

マウスピース矯正には前歯の上下12本をメインに矯正する部分治療と奥歯を含めて矯正する全体矯正とがあります。そのため治療期間の目安は3ヵ月〜2年程度と幅があり、金額も治療内容と期間によって異なります。

全体矯正の場合

奥歯を含めた全体矯正をする場合、治療期間は1年〜2年程度が目安となります。費用は期間に応じておよそ50万円〜100万円(税込)の金額が目安となります。交換するマウスピースの枚数は20枚以上、また無制限となるケースもあります。

部分矯正の場合

部分矯正の場合は、治療期間は少し短くなり3ヵ月~6ヵ月程度が目安となります。費用は期間に応じておよそ10万円〜40万円(税込)の金額が目安となります。

交換するマウスピースの枚数は8枚〜20枚が目安です。

湘南美容歯科の実際のマウスピース矯正症例と治療期間

マウスピース矯正治療の参考に、当院の実際の症例と治療期間についてご紹介します。

すきっ歯(3ヵ月)

上記は、前歯に隙間があるいわゆる「すきっ歯」の矯正治療前後の写真です。3ヵ月の治療期間で、上前歯の歯並びと正中にあった隙間が改善されて並びがきれいになりました。費用は355,500円(税込)です。

口ゴボ(14ヵ月)

上記は、唇を閉じた際にモコッと盛り上がる「口ゴボ」の矯正治療前後の写真です。14ヵ月の治療期間で、前歯全体の歯列を整えることで口が自然に閉じられるようになり口周りがすっきりとした印象になりました。費用は528,000円(税込)です。

Eライン(12ヵ月)

上記は、鼻の先と顎の先端を結んだ「Eライン」が矯正治療によって改善された写真です。治療前の写真では、唇が前に出ておりまた下の歯がよく見えていますが、治療後の写真では歯並びが整うことで鼻先から唇、顎にかけて全体のバランスが整っています。

治療期間は12ヵ月で、費用は953,500円(税込)です。歯列矯正は歯並びが整うだけでなく横顔の印象も変わります。

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マウスピース矯正とワイヤー矯正方法では矯正期間が異なる?

マウスピース矯正もワイヤー矯正も、治療によって歯を動かす量は一緒です。そのため治療期間に大きな差はありません。

以前はマウスピース矯正のほうがやや長引くといわれていましたが、現在はマウスピースの設計精度が向上し、治療の進みもワイヤー治療と変わらないレベルになっています。

ただし抜歯が必要な症例では、マウスピース矯正のほうがやや長引くケースもあります。歯の動き方が想定とは異なりマウスピースの作り直しが発生することがあるためです。

抜歯を伴わない矯正治療では、マウスピース矯正とワイヤー矯正の期間は同じと考えて問題ありません。

マウスピースの矯正期間が長引くケース

歯の矯正治療は、少しずつ歯を動かすため長い時間が必要です。また治療開始前の状態によっても期間は異なります。次のような事情がある場合には、マウスピース矯正の期間が長引きやすい傾向にあります。

正しく装着できていない

マウスピース矯正は、マウスピースがすべての歯にしっかりと密着している状態がキープされることで歯を動かす力が正しく働きます。手で装着したあとに「チューイー」と呼ばれる器具を噛んで奥歯までしっかりと密着させるのが正しい装着方法です。

ある程度の期間が経過して装着に慣れてくると、マウスピースを口に入れたあとに噛んで装着するほうが簡単に感じられます。しかしこの方法では正しく密着されない可能性があるため、正しい装着方法を続けることが大切です。

装着時間が短い

マウスピース矯正では1日あたりの装着時間の目安が定められており、おおむね20時間以上は装着が必要です。また治療計画も、装着時間が満たされていることを前提に作られます。

そのため決められた装着時間を守れない場合は治療期間も長引きます。

喫煙により血行が悪くなっている

歯の移動は、歯の周辺にある骨や組織の働きによって進行します。そのため喫煙による歯茎の血行不良が起こっていると歯の移動がスムーズに進まない可能性があります。

歯の詰め物や被せ物が取れてしまった

矯正治療中に詰め物や被せ物が取れてしまった場合、その治療をしている間は矯正治療をストップする必要があります。マウスピースは歯のかたちに合わせて設計されているため、治療を終えてから再開することになります。

また治療によって歯の形が変わる場合はマウスピースの作り直しが必要なこともあります。

抜歯が必要な場合

抜歯をともなう矯正治療では、抜歯を伴わないケースと比較して治療期間が長くなりやすいです。マウスピース矯正では、抜歯をして空いたスペースに歯が傾く可能性があるためです。

抜歯により必要な移動量が増えることも理由のひとつですが、歯が傾かないように慎重に動かすことが大きな理由です。

重度の叢生である場合

叢生(そうせい)とは、歯と顎のサイズがアンバランスなことが原因で歯が重なった状態で生えてしまう症状のことです。

叢生が重度の場合は、動かし方も複雑で、かつ動かす量も通常よりも多くなるため、治療に必要な期間が長くなります。また必要に応じて抜歯をおこなうことも考えられるため、長期の治療期間が見込まれます。

顎間ゴムを正しく使用できていない

顎間ゴムとは、矯正治療をより効果的に進めるために用いる小さな輪ゴムのことです。こちらもマウスピースと同様に20時間以上の装着が望ましいですが、着用時間が短かったり交換するのを忘れていたりすると効果が薄まり治療期間が長引く可能性があります。

虫歯や歯周病により治療中の場合

マウスピース矯正中に虫歯や歯周病にかかると、詰め物や被せ物の治療と同様に治療完了までは矯正を中断することになります。特に歯周病の治療は数ヵ月間の中断が必要になる場合もあります。

タイミングによっては歯が後戻りしてしまう可能性もあるため、日頃から歯磨きやうがいなどのケアを丁寧におこなうことが大切です。

マウスピースの矯正期間を長引かせないためのポイント

マウスピース矯正を治療計画どおりに進めるためのポイントをご紹介します。

マウスピースの装着時間・装着方法を守る

治療を効果的に進めるうえでもっとも大切なポイントです。マウスピース矯正は、正しい装着方法で1日あたり20時間以上装着することで効果的に進めることができます。

食後に装着することを忘れたり、短時間で外したりすることは治療期間の長期化につながります。

口内環境のケアを日頃から怠らない

マウスピース矯正期間中は、歯や歯茎に唾液がかかりにくくなるため虫歯や歯周病のリスクが高まります。虫歯や歯周病になってしまった場合は矯正を中断する必要があるため、マウスピースの掃除や食後の歯磨き・うがいなどのケアがとても大切になります。

歯磨きは、歯ブラシのほかデンタルフロスや歯間ブラシなどのアイテムを使うとより効果的です。自分に合った口腔ケアの方法を知りたい方は歯科医師に相談するとよいでしょう。

歯に合ったマウスピースを使用する

マウスピース矯正では、マウスピースの作り直しが発生することがあります。歯の移動が計画通りに進まないなどの理由で、あたらしく交換するマウスピースが歯列全体にフィットしないケースがあるためです。

歯に合っていないマウスピースをそのまま用いると作り直しが発生する可能性があるため、交換時にフィットしていないと感じた場合は交換前のものを再び装着しましょう。

数日様子をみて、ふたたび交換しても違和感が大きい場合はクリニックに相談をしましょう。

自分に合った歯科医師を選ぶ

マウスピース矯正とワイヤー矯正はどちらも矯正治療ではありますが、マウスピース矯正を正しく進めるにはワイヤー矯正とは別の知識も必要になります。矯正歯科を選ぶ際は、マウスピース矯正について正しい知識を持ちかつ治療実績も豊富なクリニックを選ぶことをおすすめします。

まずは相談をしてみて相談時の感触を確認するのもよいでしょう。

まとめ

マウスピース矯正の治療期間は症例によって異なるため、3ヵ月〜2年程度と幅があることが特徴です。全体矯正の場合は少なくとも1年、部分矯正の場合は短いケースでは2ヵ月で完了する場合もあります。ワイヤー矯正と比較した際の治療期間は、抜歯をともなう矯正治療を除けば同様と考えて問題ありません。

マウスピース矯正を治療計画通りに進めるためにもっとも大切なことは装着方法・装着時間を守ることで、また日頃の口腔ケアによって虫歯・歯周病を防ぐことも長期化を防ぐ大事なポイントです。