歯列矯正について、完了までにどのくらいの期間がかかるのか気になる方も多いでしょう。歯列矯正にかかる期間はもともとの歯並びや矯正治療をおこなう範囲、治療内容によって異なります。

そこで本記事では、歯列矯正にかかるおおまかな期間、時間がかかる理由、治療計画通りに完了するためのポイントなどをご紹介します。

歯列矯正にかかる期間

歯列矯正にかかる期間はおおまかに「矯正期間」と「保定期間」に分けられます。それぞれご説明します。

矯正期間

矯正期間とは、歯に矯正器具を装着して歯並びや咬み合わせを整える期間を指します。奥歯から全体的に歯を動かす”全体矯正”では1年〜2年、前歯だけを動かす”部分矯正”では3ヵ月〜6ヵ月程度の期間が目安となります。

保定期間

保定期間とは、歯列矯正により動かした歯を安定させるまでの期間を指します。保定期間は約1年~2年が目安となります。

通常、歯を動かす施術を終えた直後は、歯がもとの位置に戻ろうとする力が働いています。歯の後戻りを防ぐために「リテーナー」と呼ばれる装置を装着し、現在の位置を定着させる期間が必要となります。

歯列矯正の期間が長くかかる理由は?

歯列矯正は少なくとも数ヶ月、概ね1年以上の期間が必要となります。長い時間が必要となる理由は、少しずつ歯を動かしていくことで歯並びや咬み合わせを整えていくためです。

歯列矯正で歯を動かすペースは、およそ1ヵ月に0.25mm〜1mm程度です。矯正装置により歯に圧力をかけることで、歯の周りの組織や骨が伸び縮みしたり、溶けたり再生したりすることによって歯の移動が進みます。

圧力を強めることで進みが早くなるかと考えられそうですが、歯の寿命が縮むリスクを抱えることになるためそれはできません。また矯正を終えたあとに整った歯並びを定着させる期間も必要になるため、長い時間がかかることになります。

歯列矯正中の通院頻度

歯列矯正をしている間は、進み具合を確認したり矯正装置を調整するために通院をする必要があります。ワイヤー矯正では概ね1ヵ月に1回、マウスピース矯正では1ヵ月〜2ヵ月に1回の通院が目安となります。

マウスピース矯正の通院頻度が少ないのは、患者自身がマウスピースを付け替えて進めていくためです。

また、矯正を開始した直後は違和感の相談を受けたり装置の微調整をするケースもありますので、上記で紹介した頻度よりも多くなることが考えられます。

歯列矯正が早く終わるケース

歯列矯正が比較的早く終わるケースについてご説明します。

部分的な矯正をおこなう場合

歯を動かす必要のある箇所が部分的である場合は全体矯正に比べて短期間で歯列矯正が完了します。例えば奥歯の矯正はせずに前歯だけを矯正するといった場合は数ヵ月で矯正期間を終えられることもあります。

抜歯をしない場合

歯列矯正では、抜歯をして歯を動かすスペースを作ることがあります。抜歯を伴う矯正では、歯を動かす量が多くなるため、抜歯をしないほうが比較的早く終わる傾向にあります。

表側矯正をおこなう場合

歯列矯正のうちのワイヤー矯正には、表側矯正と裏側矯正とがあります。両者の矯正期間を比較すると表側矯正のほうが比較的早く終えられる傾向にあります。

表側矯正には矯正装置が目立ちやすい、ブラケットが唇の裏側に触れて気になるといった特徴がありますが、それらが気にならない方は裏側矯正よりもやや早く終えられるでしょう。

虫歯や歯周病などがない場合

矯正治療中に虫歯や歯周病が発覚した場合、矯正治療を中断してそれらを治す必要があります。小さな虫歯であれば矯正期間に大きな影響はありませんが、歯周病の場合は数ヵ月も中断する可能性があります。

矯正治療を早く終えるには日頃のケアが大切です。

年齢が若い場合

小学生や中学生など、年齢が若い方は新陳代謝が活発であり、歯が早く動く傾向にあります。そのため歯列矯正の期間が短くなりやすいです。また、歯並びが整うことで顎の形も整いやすいといった効果もあります。

ただし、永久歯が生え揃い骨格が安定してから矯正治療を始めたほうがいいケースもあります。必ずしも小学校や中学校のうちから始めなければいけないわけではありません。

矯正方法によって矯正期間も異なる

歯列矯正にはワイヤー矯正、マウスピース矯正などいくつかの種類があり「矯正期間」がそれぞれ異なります。

表側矯正(ワイヤー矯正)

歯の表面にブラケットと呼ばれる装置を装着し、そこにワイヤーを通して歯に圧力をかけていく治療方法です。矯正期間の目安は1年〜3年程度です。

表側矯正は歯列矯正の中でも歴史のある方法なため、目にしたことのある方も多いかと思われます。

裏側矯正(ワイヤー矯正)

歯に装着する装置は表側矯正と同様ですが、ブラケットを歯の裏側に装着することが特徴です。矯正期間の目安は1年〜3年程度です。歯の裏側は人によってカーブのかたちが違ったり凹凸があったりするため、表側矯正よりも高度な技術が求められます。

そのため1回あたりの診療時間が長くなり、費用も表側矯正に比べ高額になる傾向にあります。矯正器具が表に見えないため、矯正していることが周囲から見えにくいメリットがあります。

ハーフリンガル矯正

ハーフリンガル矯正は、表側矯正と裏側矯正を併用する方法です。ワイヤーが目立ちやすい上の歯には裏側矯正を行い、下の歯には表側矯正を行います。矯正期間の目安は2年半程度です。

上下とも裏側矯正をするよりも費用を抑えることができ、また上の歯はワイヤーが目立ちにくくなるというメリットがあります。

マウスピース矯正

「アライナー」と呼ばれるマウスピース型の矯正装置を用いて歯並びや咬み合わせを整える方法です。矯正期間の目安は3ヵ月〜2年程度で、矯正装置の取り外しができることが特徴です。

部分矯正をするか、全体矯正をするかによって期間が変わりますが、ワイヤー矯正よりも期間が短い傾向にあります。

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セラミック矯正

歯を削ったり歯茎を切除したりしたあと、セラミック製の被せ物を装着することで見た目や歯並びを整える方法です。ほかの方法と違い歯を動かさないため短期間で完了しますが、健康な歯を削ったり、場合によっては歯の神経を抜いたりする必要があるのが懸念点です。

矯正期間を延ばさないためには?

矯正期間を治療計画の範疇に収めるためにはいくつかの大切なポイントがあります。特に守っていただきたい注意点をご紹介します。

矯正器具を正しく装着する

マウスピース矯正における注意点です。マウスピース矯正は、治療を受ける方ご自身が、正しい装着方法・正しい装着時間を守ることで効果を発揮する矯正治療です。

医師の指示に従って、正しく装着するように気をつけましょう。

計画通りに通院する

矯正治療を進めているあいだは、進み具合を確かめたり矯正器具を調整したりするために通院をします。

定期的な通院ができないと矯正期間が間延びする場合もあるため、スケジュール調整をして確実に通院することが大切です。

歯のケアを丁寧におこなう

矯正治療中は、普段よりも虫歯や歯周病のリスクが高くなります。ワイヤー矯正は特にブラケットの周囲に汚れが溜まりやすく、またマウスピース矯正では唾液が歯や歯茎に届きにくくなり自浄作用が働きにくくなります。

矯正治療中に虫歯や歯周病にかかると、矯正を中断する場合もあるため日頃のケアを丁寧におこなうことが矯正期間を伸ばさないポイントとなります。

保定期間中のリテーナーを正しく装着する

矯正期間が終わったからとリテーナーを装着しないでいると、歯の後戻りが発生する可能性があります。矯正装置と同様に、リテーナーも正しく装着するように心がけてください。

セラミック矯正を検討する

矯正方法を見直すことも1つの手段です。
セラミック矯正は、歯を削りセラミック製の被せ物を装着して歯並びを整えます。歯を動かさないため、最短の場合、治療当日に歯並びが整います。
※治療完了までは最短2回のご来院が必要ですが、1回目に仮歯を入れ混むことで、当日に歯並び自体は改善可能です。(2回目でセラミックを装着いたします)
健康な歯を削ることや、歯の神経を抜く可能性があるのが懸念点です。

湘南美容歯科のセラミック矯正についてはこちら

また、セラミックの歯による治療については以下をご覧ください。
セラミックの歯による治療とは?メリット・デメリット、料金や種類についてご紹介

まとめ

歯列矯正は時間のかかる治療であり、部分矯正であっても少なくとも2ヵ月は必要です。歯並びの状態や治療方法によっても異なるため、ご自身の症例に対して必要な期間は、診察を受けて初めて具体的にわかります。

矯正期間を間延びさせないためには、定期的に通院いただくことや日頃のケアを丁寧におこなうなど患者さま自身の理解・協力も不可欠です。治療期間について知りたいという方は、まずはお気軽にご相談ください。

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