マウスピース矯正を始めると、普段の生活にどのような影響が出るのか気になる方も多いでしょう。マウスピース矯正は矯正装置の取り外しが可能ですが、長時間の装着を前提として成立しています。また虫歯や歯周病を防ぐためにはこれまでよりも丁寧なケアが必要になります。

そこで本記事では、マウスピース矯正の概要やデメリット、注意点、ワイヤー矯正との比較や実際の症例について解説します。

マウスピース矯正とは?

マウスピース矯正は、歯の大きさや形に合わせて作られる「アライナー」という装置を装着して歯並びや咬み合わせを整える矯正治療です。歯に弱い力をかけながら、3ヵ月〜2年ほどの期間をかけて少しずつ歯を移動させることで歯並びや咬み合わせを整えていきます。

歯の周りには歯を支える土台となる骨や組織があり、一定の圧力が加わると骨が溶けたり再生したり、組織が伸び縮みしたりする性質があるのです。歯列矯正はこの性質を利用して歯を移動させており、マウスピース矯正ではアライナーを用いて歯に一定の圧力を少しずつかけていきます。

当クリニックはマウスピース矯正の実績が1万件以上あり(2019年~2023年累計治療数)、すきっ歯の解消や口ゴボ、Eラインの改善といった例もご覧いただけます。

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マウスピース矯正のデメリットや注意点

マウスピース矯正のデメリットや注意点を紹介します。

自己管理の重要性が高い

マウスピース矯正を治療計画通りに進めるには、しっかりと歯の全体に密着させて、歯磨きと食事以外の時間は装着している必要があります。1日あたり20時間以上の装着が目安であり、付け忘れや紛失が起こると治療が長引くこともあり得ます。

また紛失した際は、マウスピースを新しく作り直す追加費用が発生するため注意が必要です。その他には虫歯・歯周病のリスクを避けるための口腔ケアやマウスピースを清潔に保つ手入れも大切なポイントです。

マウスピース矯正はきちんとした自己管理によって成立するため、マウスピースの装着を習慣化するまでは大変かもしれません。しかし近頃はアプリやマウスピース矯正ケースを用いて付け忘れや紛失対策が可能です。

対応できる症例に限りがある

歯並びの状態や症例の内容によってはマウスピース矯正の適応とならない可能性があります。マウスピース矯正は、歯の移動によって歯の並びや咬み合わせを矯正していくものであり骨を削ったりするような外科手術ではありません。

そのため、例えばマウスピース矯正だけで顎の骨のかたちを変えるようなことはできません。また叢生(そうせい)といって、顎と歯の大きさのアンバランスによって起こる不正歯列が重度の場合も適応とならないケースがあります。

まずはクリニックに相談してみることをおすすめします。

食事の際にはマウスピースを外す必要がある

マウスピースは取り外しができるため、ワイヤー矯正よりも食事をしやすいことが特徴のひとつです。しかし人によっては食事のたびに付けたり外したりすることが却って煩わしく感じる可能性もあるでしょう。

飲み物については、マウスピースが汚れることのない水などであれば装着したまま飲んでも問題ありません。

奥歯の嚙み合わせが悪くなる可能性がある

マウスピース矯正を進めていくと、一時的に奥歯の咬み合わせが悪くなるケースがあります。マウスピースを長時間装着していると、噛む力の圧力によって奥歯を歯茎の方向に押し込む力が働きます。

その結果、奥歯が少し沈んでしまい、マウスピースを外して食事をする際に通常よりもしっかりと噛めなくなるという現象です。徐々に改善されるケースが多く、また小さな輪ゴムのような装置を用いてもとに戻すといった改善方法もあります。

歯根が短くなる場合がある

口の中に歯が見えている部分を「歯冠」といい、歯茎に隠れて見えない部分を「歯根」といいます。矯正治療をすると見えない部分である歯根の長さが短くなる場合があり、これを「歯根吸収」と呼びます。

はっきりとした原因は解明されていませんが、歯に圧力をかけることや治療期間が長期にわたることが影響していると考えられています。ほとんどの場合、歯が抜けたり歯の寿命が縮まることはありません。

マウスピース矯正はどのような人におすすめ?

マウスピース矯正は以下のようなニーズを抱える方に向いている矯正治療です。

  • 金属アレルギーがある、またはその不安がある
  • 目立たない矯正をしたい
  • 痛みの少ない矯正をしたい
  • ホワイトニングも同時に検討したい
  • 矯正中も口腔内を清潔に保ちたい
  • 食事の制限を避けたい
  • 事前にシミュレーションしたい

マウスピース矯正は金属製のワイヤーを用いないため、金属アレルギーを抱える方であっても適応可能な方法です。また取り外しが可能なため、食事や歯磨きはこれまでと同じようにおこなうことが可能です。ただし唾液が歯や歯茎に届きにくいため、定期検診を受けて状態をチェックするなど丁寧なケアが必要になります。

また、マウスピース矯正はホワイトニングジェルを使うことでホワイトニングを同時にできるメリットもあります。しかしアタッチメントの付いている部分との色ムラができたり痛みが生じたりする可能性もあるので必ずクリニックに事前相談が必要です。

マウスピース矯正とワイヤー矯正の比較

歯列矯正治療には、大きく分けてマウスピース矯正とワイヤー矯正の2種類があります。違いを簡単にまとめると以下の表のようになります。

マウスピース矯正 ワイヤー矯正
治療期間 3ヵ月〜2年程度 2〜3年程度
費用の目安 10万円〜100万円 60万円〜100万円
見た目 透明で目立ちにくい ワイヤーが目立ちやすい
矯正中の痛み 比較的少ない ワイヤー調整後に出やすい
口内のケア 取り外して歯磨き可能 歯間ブラシなどが必要

マウスピース矯正は適応可能な症例に限りのある方法ではありますが、ワイヤー矯正と比較すると目立ちにくく痛みの少ない歯列矯正治療です。また取り外しが可能なため、口腔ケアもおこないやすいというメリットがあります。

ご自身の症例がどちらに適しているのかといった相談もクリニックで受け付けていますので、お気軽にご相談ください。

マウスピース矯正の症例写真

マウスピース矯正治療の参考に、当院の症例をご紹介します。

部分矯正(インビザラインGO)

上記は当クリニックの部分矯正「インビザラインGO」の矯正治療前後の比較です。前歯が前方に向かってやや斜めに生えている部分が改善され、前歯が唇の内側に収まっています。部分矯正では、このような部分的な矯正治療も可能です。全体矯正よりも期間・費用を抑えやすいといった特徴があります。

口ゴボ矯正(インビザライン モデレート)

上記は当クリニックの「インビザライン モデレート」にて口ゴボの矯正をした治療前後の写真です。口ゴボは前歯が出ていることで口を閉じた際に唇が盛り上がって見える状態を指します。

治療前後を比較すると、前歯の位置や並びが整うことで見た目の印象がすっきりとしています。

下顔面矯正(インビザライン フル)

上記は当クリニックの「インビザライン フル」にて下顔面矯正をした治療前後の写真です。鼻の先と顎の先端を結んだ線を「Eライン」と呼びますが、日本人の横顔は唇の先端がEラインに触れるか少し内側に収まる程度が整って見えるといわれます。

歯列矯正では骨格を変える外科手術はおこないませんが、症例によっては歯並びの改善によって口周り全体のバランスを整えることも可能です。

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マウスピース矯正についてよくある質問

マウスピース矯正についてよくあるご質問にお答えします。

マウスピースの長時間の装着が難しい場合はどうすればよいですか?

マウスピース矯正は、1日あたり20時間以上の装着を守ることを前提として治療計画が立てられます。そのため長時間の装着が難しい場合は通常よりも治療期間が長引く可能性があります。

生活や仕事の事情などで装着時間を守るのが難しいと考えられる場合は、その旨を事前にご相談ください。

マウスピース矯正の治療期間はどのくらいですか?

前歯だけを動かす”部分矯正”か、奥歯から歯を全体的に動かす”全体矯正”か、またもともとの歯並びの状態によって変わります。症状が軽度な場合は、部分矯正で3ヵ月~6ヵ月程、全体矯正をおこなう場合は1〜2年程度の期間が見込まれます。

歯科医院はどのように選ぶべきですか?

歯列矯正治療は基本的に長期にわたっておこなわれます。そのため、治療期間中の質問や相談に適切に応じてくれるか、治療完了までの期間に、医師に定期的に見てもらえるか、を重視されるとよいでしょう。当初の治療計画通りに動いているかは、医師による目視でないと判断が難しいところです。
また歯列矯正は専門知識だけでなく経験も必要です。マウスピース矯正の実績が豊富な医師が在籍しているか否かも事前に確認しましょう。

まとめ

マウスピース矯正は正しい装着方法・正しい装着時間を守ることで効果を得られる歯列矯正治療です。取り外しが可能というメリットがある反面、付け忘れ・紛失に気をつけたりマウスピースを清潔に保つといった自己管理が求められます。

ワイヤー矯正と比較すると、矯正治療をしていることが目立ちにくく、また痛みが少ないことがメリットといえます。マウスピース矯正治療を検討している、自分に合った矯正方法を知りたいという方は当クリニックにお気軽にご相談ください。