この記事の監修者
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歯科統括院長前田 純歯科医師 - 歯科医師。2009年3月奥羽大学歯学部歯学科卒業。同大学歯学部附属病院にて勤務のあと、2012年4月から一般歯科クリニックにて勤務。2016年4月から湘南美容歯科大阪心斎橋院にて勤務を開始し、2019年10月より湘南美容歯科統括院長就任。
歯列矯正は、一般的に自由診療となり全額自己負担です。費用負担を少しでも抑えるためにも、医療費控除の制度を利用したいところですが、控除の対象となるにはいくつかの条件があります。
この記事では、歯列矯正が医療費控除の対象になる条件や対象・対象外となる費用、還付金の計算方法、確定申告の手順までわかりやすく解説します。
目次
医療費控除とは?
医療費控除とは、1月1日から12月31日までの1年間で支払った医療費が一定額を超えた場合に、所得控除を受けられる制度のことです。
確定申告で医療費控除を申請すると、納めすぎた所得税が還付金として戻ってきたり、翌年の住民税が軽減されたりする場合があります。
医療費控除の対象となる条件
医療費控除の対象となるには、次の2つの条件を満たす必要があります。
・自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であること
・その年の1月1日から12月31日までの間に実際に支払った医療費であること
医療費控除額は、原則として、1年間に実際に支払った医療費から保険金などで補てんされた金額と10万円を差し引いて計算します。
ただし、その年の総所得金額等が200万円未満の場合は、10万円ではなく、総所得金額等の5%を差し引きます。そのため、支払った医療費が10万円以下でも、医療費控除を受けられる可能性があります。なお、医療費控除額の上限は200万円です。
参考:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」
歯列矯正は医療費控除の対象になる?
結論からいうと、歯列矯正も医療費控除の対象になる場合があります。ただし、すべての歯列矯正が対象になるわけではなく、見た目の審美性のみを目的とした治療は控除の対象外です。
あくまで噛み合わせや発音といった健康面・機能面の改善を目的として、歯列矯正が必要と認められる場合に医療費控除の対象となります。
子どもの歯列矯正の場合
子どもの歯列矯正は、医療費控除の対象となる場合が多くみられます。国税庁のサイトでも発育段階にある子どもの成長を阻害しないようにするためにおこなう不正咬合の歯列矯正は、医療費控除の対象になると明記されています。
子どもの場合、歯並びの乱れが噛み合わせの悪化や歯・顎の成長の妨げ、発音への悪影響につながる可能性があるため、基本的に治療目的として控除が認められやすい傾向にあります。
参考:国税庁「No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」
大人の歯列矯正の場合
大人の歯列矯正も、噛み合わせや咀嚼、発音などの機能を改善するために必要な治療であれば、医療費控除の対象になる可能性があります。
例えば以下のようなケースです。
- 前歯で食べ物を噛み切れない
- 奥歯が適切に噛み合わない
- 歯並びが原因で発音しにくい
一方、「前歯をきれいに並べたい」「口元の印象を変えたい」といった見た目の改善のみを目的とした歯列矯正は、医療費控除の対象外になりやすいと考えられます。
治療目的がわかりにくい場合は、カウンセリング時に歯科医師へ医療上の必要性を確認し、治療計画書や領収書などを保管しておくとよいでしょう。最終的な税務上の判断については、所轄の税務署へ確認してください。
医療費控除の対象となる歯列矯正の症例

次のような歯並びに対し、噛み合わせや咀嚼、発音などの機能改善を目的として歯列矯正をおこなう場合は、医療費控除の対象になる可能性があります。
- すきっ歯(空隙歯列弓):歯と歯の間に余分な隙間がある状態
- 出っ歯(上顎前突):前歯が前に突出している状態
- 交差咬合:上下の歯の噛み合わせが部分的に反対になっている状態
- 開咬(前歯が閉じない):前歯が閉じずに噛み合わない状態
- 叢生(ガタガタした歯並び):歯が上下に重なったり、前後にずれたりしている状態
- 受け口(反対咬合):下の歯や顎が上の歯より前に出ている状態
上記のような症例で、歯科医師が噛み合わせや口腔機能の改善のために矯正治療が必要と診断した場合は、医療費控除の対象となる可能性があります。
歯並びが悪い原因を詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
歯並びが悪い原因や放置するリスクとは?治療法や症例を紹介
医療費控除の対象になる歯列矯正の費用・ならない費用
歯列矯正の医療費控除では、治療費だけでなく、関連する費用のうち対象になるものとならないものがあります。申請前に確認しておきましょう。
| 費用 | 医療費控除の対象 |
|---|---|
| 矯正治療にかかる費用 | 機能面や健康面の改善が目的で、歯列矯正が必要と認められる場合は対象になる可能性がある |
| 通院時の公共交通機関の交通費 | 対象になる可能性あり |
| デンタルローン・クレジットで支払った治療費 | 対象になる可能性あり |
| デンタルローンの金利・手数料 | 対象外 |
| 自家用車のガソリン代・駐車場代 | 対象外 |
矯正治療にかかる費用としては、初診料、検査・診断料、装置の費用、毎月の調整料などが含まれます。通院のための交通費は、バスや電車など公共交通機関を利用した場合に限り対象となり、自家用車のガソリン代や駐車場代は認められません。交通費は領収書が出ない場合もあるため、通院日と利用区間、金額をメモしておくと申請時にスムーズです。
参考:国税庁「No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」
デンタルローンやクレジットカード払いの注意点
歯列矯正の治療費をクレジットカードやデンタルローンで支払った場合も、治療自体が医療費控除の要件を満たしていれば対象になります。ただし、いくつかの注意点があります。
まず、デンタルローンの場合、医療費控除の対象となるのは、信販会社が歯科医院へ立替払いをした年の医療費です。お客さまが毎月分割で返済していたとしても、信販会社が歯科医院へ立替払いをした金額を、その立替払いをした年の医療費として計上します。例えば、2025年にデンタルローンを契約して矯正治療を開始した場合、2025年分の医療費控除としてまとめて申告することになります。
また、デンタルローンを利用した場合は、歯科医院からの領収書が発行されないケースがあります。その場合は、ローンの契約書の写しや信販会社の領収書を保管しておきましょう。確定申告の際に支出を証明する書類として必要になります。
クレジットカード払いの場合も同様に、医療費控除の対象です。ただし、デンタルローン・クレジットカードいずれの場合も、分割払いにともなう金利や手数料は医療費控除の対象外なので注意してください。
なお、湘南美容歯科では、デンタルローン(月々3,000円からのお支払い、最大120回払い)をご利用いただけます。詳しくはお支払方法のご案内をご確認ください。
医療費控除で歯列矯正の治療費はいくら戻る?
医療費控除を申請すると、具体的にいくら戻ってくるのか気になる方も多いでしょう。ここでは、医療費控除額の計算方法と、還付金の目安について解説します。
医療費控除の計算方法
還付金の前に、ここではまず医療費控除額の計算式をご紹介します。
医療費控除の計算方法は、それぞれ次のとおりです。
総所得が200万円以上の場合
①年間で支払った医療費−②保険金などの補填金−③10万円=医療費控除の額
(具体的な例)総所得が600万円の例
①50万円−②10万円−③10万円=30万円
→医療費控除額は30万円
総所得が200万円未満の場合
①年間で支払った医療費−②保険金などの補填金−③総所得金額等×5%=医療費控除の額
(具体的な例)総所得が140万円(140×5%=7)
①15万円−②3万円−③7万円=5万円
→医療費控除額は5万円
医療費控除額は、1年間で支払った医療費から「保険金などの補填金」と「10万円」を引いた額で算出されます。
ただし、総所得が200万円未満の場合は「保険金などの補填金」と「総所得金額等の5%」を引いた額が医療費控除額として算出される違いがあります。
また②の「保険金などの補填金」は、社会保険や生命保険などからの給付金(高額介護サービス費・医療保険金など)を指します。
特に給付金などを受けていなければ、差し引く必要はありません。
還付金の目安と計算方法
医療費控除額が算出できたら、次に還付金(戻ってくるお金)の目安を計算します。還付金の目安は、医療費控除額に所得税率をかけることで求められます。所得税率は課税所得額に応じて以下の7段階に分かれています。
| 課税される所得金額 | 税率 |
|---|---|
| 1,000円 から 1,949,000円まで | 5% |
| 1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% |
| 3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% |
| 6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% |
| 9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% |
| 18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% |
| 40,000,000円 以上 | 45% |
参考:国税庁「No.2260 所得税の税率」
※上記の税率は課税される所得金額(総所得金額などから基礎控除・社会保険料控除などの各種所得控除を差し引いた金額)に対して適用されます。還付金額はあくまで目安で、実際の金額は個人の控除状況により異なります。
(計算例1)
総所得金額が600万・医療費控除額が30万円の場合
課税所得が330万円〜694万9,000円の範囲にあたる場合、所得税率は20%です。
30万円 × 20% = 6万円 → 所得税の還付金の目安は約6万円
(計算例2)
総所得金額が140万円・医療費控除額が5万円の場合
課税所得が194万9,000円以下の範囲にあたる場合、所得税率は5%です。 5万円 × 5% = 2,500円 → 所得税の還付金の目安は約2,500円
さらに、医療費控除を申請すると翌年の住民税も軽減されます。個人住民税の所得割の標準税率は一般的に10%であるため、住民税の軽減額は「医療費控除額 × 10%」が目安です。ただし、自治体の税率や非課税の状況、税額控除などによって実際の金額は異なります。
計算例1の場合、30万円 × 10% = 3万円が翌年の住民税から減額されることになり、所得税の還付金6万円と合わせると、合計で約9万円の税負担軽減が見込めます。
歯列矯正の医療費控除を申請する手順
医療費控除は自己申告制のため、年末調整では手続きできず、ご自身で確定申告をおこなう必要があります。ここでは、確定申告で医療費控除を申請する具体的な手順をご説明します。
必要な書類を準備する
医療費控除の申請では、主に次の書類や情報を準備します。
- 給与所得の源泉徴収票
- 医療費控除の明細書
- 医療費通知・医療費のお知らせ
- 歯科医院の領収書や治療費の明細
- 通院時の交通費を記録したもの
- デンタルローンの契約書や利用明細
医療費控除の明細書は、確定申告書に添付する必要があります。歯科医院の領収書や医療費通知を確認しながら、医療を受けた人、医療機関名、支払った金額などを記載します。
医療費通知は必須ではありませんが、添付することで医療費控除の明細書の記載を一部簡略化することが可能です。自由診療の矯正費用など、医療費通知に記載されていない費用は、領収書をもとに追加してください。
医療費の領収書は、原則として確定申告書へ添付する必要はありません。ただし、税務署から確認を求められることがあるため、確定申告期限等から5年間、自宅などで保管する必要があります。
給与所得の源泉徴収票も、確定申告書への添付や提出時の提示は不要ですが、収入や源泉徴収税額を入力するために必要になるため、手元に準備しておきましょう。
国税庁が案内する必須提出書類に、歯列矯正の診断書は含まれていません。ただし、大人の歯列矯正など、審美目的と機能改善目的の区別がわかりにくい場合に備えて、治療目的がわかる治療計画書や説明書などを保管しておくと安心です。
確定申告で申請する
確定申告の対象期間は、その年の1月1日から12月31日までです。確定申告書の提出期間は、原則として翌年の2月16日から3月15日まで(土日祝日の場合は翌営業日)です。
書類の提出方法は、税務署に直接持参、郵送、電子申告(e-Tax)の方法があります。国税庁のサイトには確定申告書等作成コーナーを設けており、画面の案内に沿って金額を入力していくことで、確定申告書の作成からe-Taxによる電子申告まで一貫しておこなえます。
湘南美容歯科で相談できる歯列矯正
湘南美容歯科では、お客さまのお悩みや歯並びの状態に合わせた矯正治療をご提案しています。無料カウンセリングも実施していますので、治療内容や費用についてお気軽にご相談ください。
マウスピース矯正
マウスピース矯正は、透明に近いマウスピース型の装置を装着し、段階的に歯を動かしていく矯正方法です。装置が目立ちにくく、食事や歯磨きの際に取り外しできる点が大きな特徴です。見た目を気にされる方や、日常生活への影響を抑えたい方に選ばれています。
セラミック治療
セラミック治療には、歯の表面に薄いセラミックを貼り付けて色や形を整えるラミネートベニア、歯を削ってセラミックの被せ物(クラウン)を装着し、歯並びや歯の色・形を整えるセラミック矯正、虫歯などで削った部分をセラミックで補うセラミックインレーがあります。それぞれ治療方法や適応が異なるため、歯の状態や改善したいお悩みに合わせて適した治療法を選択します。
なお、審美目的で行うセラミック治療は、一般的に医療費控除の対象外となるケースが多くあります。一方で、噛み合わせや咀嚼機能の回復など治療を目的とした場合は、医療費控除の対象となる可能性があります。適用可否は治療目的によって異なるため、カウンセリング時に担当の歯科医師へご確認ください。
湘南美容歯科のセラミック治療について詳しくはこちら>
湘南美容歯科の歯列矯正について詳しくはこちら>
歯列矯正の医療費控除に関するよくある質問
還付金はいつ戻ってきますか?
確定申告後、1ヵ月から1ヵ月半程度で指定した口座に還付金が振り込まれます。ただし、申告書の記載内容や添付書類に不備があった場合、手続きに時間がかかることがあります。
電子申告(e-Tax)で申告した場合は、3週間程度で比較的早く処理が完了することが多いです。
家族の歯列矯正費用もまとめて申請できますか?
生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費は、医療費控除の対象になります。医療費控除を申請できるのは、原則としてその医療費を実際に支払った方です。家族それぞれが支払った医療費を、任意の一人にまとめることはできません。
同じ家計で生活している家族の医療費を支払った場合は、自分の医療費と合算して申告できます。
参考:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」
申請し忘れた場合はどうすればよいですか?
その年分の確定申告をまだしていない場合は、還付申告として医療費控除を申請できます。すでに確定申告を済ませており、医療費控除を記載し忘れた場合は、更正の請求をおこないます。還付申告は、確定申告の期間(2月16日〜3月15日)に関わらず、医療費を支払った年の翌年1月1日から5年間提出することが可能です。
例えば、2025年に支払った歯列矯正の治療費であれば、2026年1月1日から2030年12月31日までの間に還付申告ができます。領収書や明細書は忘れずに保管しておきましょう。
まとめ
歯列矯正は、噛み合わせや口腔機能の改善を目的とした治療であれば、医療費控除の対象になります。ただし、見た目を美しくすることのみを目的とした矯正治療は対象外です。
子どもの歯列矯正では、発育段階にある成長を阻害しないための治療として控除が認められやすいです。大人の場合でも、機能面・健康面の改善が目的であれば対象となる可能性があるため、担当医に相談してみてください。
湘南美容歯科では、マウスピース矯正とセラミック矯正を取り扱っています。特別な症例を除いて自由診療となりますが、部分的な歯列矯正であれば、費用を抑えた施術が可能です。
お客さま一人ひとりに適した治療をご提案いたしますので、まずは無料カウンセリングでお気軽にご相談ください。
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