この記事の監修者
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歯科統括院長前田 純歯科医師 - 歯科医師。2009年3月奥羽大学歯学部歯学科卒業。同大学歯学部附属病院にて勤務のあと、2012年4月から一般歯科クリニックにて勤務。2016年4月から湘南美容歯科大阪心斎橋院にて勤務を開始し、2019年10月より湘南美容歯科統括院長就任。
セラミックとインプラントは、もともとの目的が異なる治療です。本記事では両者の目的の違いをはじめ、治療内容や身体的負担の違い、費用や期間の違いなどを整理します。
目次
セラミックとインプラントの違い
セラミック治療とインプラント治療は、見た目が似ていても目的も適応条件も大きく異なります。まずは、それぞれがどのような場面で選ばれる治療なのかを整理します。
治療の目的と適応症状
セラミックの治療は、歯の色や形を整えたい場合や、虫歯治療後により自然な見た目と機能を求める場合に選択される方法です。自分の歯を土台として用いる施術です。
施術の説明:セラミック治療は歯を削ってセラミックの被せ物を被せることで、短期間で歯並びの矯正、歯の色や形、質感の改善ができる治療です。
施術の副作用(リスク):疼痛・咬合時痛・冷水痛・抜歯を伴う場合は腫脹や出血が生じる可能性があります。麻酔使用時、腫れ・むくみを生じる事があります。セラミック・仮歯は使用後に欠けたり、外れる事もあります。神経の治療や抜歯が必要な場合があります。歯並びが変わる事により噛み合わせなどで違和感を感じる事もあります。
施術の価格:89,800円~980,000円
一方のインプラントは、失った歯を補う方法で、顎の骨にネジのような人工の歯根を埋め込みます。虫歯や歯周病、外傷などにより歯を失った場合におこなう施術です。
身体への負担の違い
インプラント治療は、顎の骨に人工の歯根を埋め込む外科的な手術をともないます。歯ぐきの切開、骨への土台の埋め込みが必要となるため、出血や術後の腫れ・痛みなどの身体的負担が避けられません。
一方のセラミック治療は、基本的に歯ぐきや骨を切開する外科手術をおこなわないため、全身への影響という意味では比較的負担が少ない治療といえます。また素材の観点から見ればセラミックは生体親和性が高く、金属を含まないセラミックであれば歯肉の黒ずみや金属アレルギーの心配もありません。
【一目でわかる】目的・治療期間・費用相場などの比較
セラミックとインプラントの違いを、目的や治療期間、費用相場などの項目に分けてまとめると以下のようになります。両者の特徴を理解することで、自分の希望や歯の状態に合う治療が選びやすくなります。
| セラミック治療(クラウン・被せ物) | インプラント治療 | |
|---|---|---|
| 治療の目的 | 歯の色・形・軽度の歯並びを整え、見た目と機能を改善する | 歯を失った部分の噛む力と機能を回復する |
| 身体への負担 | もともとの歯を削ったあとに痛みが生じることがある | 外科手術にともなう出血や術後の腫れ・痛み |
| 治療期間 | 比較的短い(数週間~数ヵ月) | 時間がかかる(数ヵ月~1年程度) |
| 費用相場 | 1本あたり5万円~20万円程度 | 1本あたり30万円~50万円以上 |
| 保険適用 | 自由診療(保険適用外) | 自由診療(保険適用外) |
セラミック治療は、自分の歯が残っていることを前提に、見た目や機能を比較的短期間で改善できる治療です。
一方で、インプラント治療は歯を失った部分の機能回復を目的とした治療です。
セラミック、インプラントはいずれも自由診療のため保険適用外となり、費用は高くなる傾向にあります。
セラミック治療のメリット・デメリット
セラミック治療は見た目の美しさだけでなく、症例によっては機能面の改善も同時にかなえられる治療となります。またメリットとデメリットは次のようになります。
湘南美容歯科のセラミック治療について詳しくはこちら>
メリット:短期間で審美性と機能性を改善
インプラントと比較した場合のセラミック治療の大きな特徴は、治療期間が比較的短いことです。被せ物の製作工程に必要な期間を含めても数週間から数ヵ月で完了することが多く、短期間で見た目と噛む機能の両方を整えたいというニーズに適しています。
また、ホワイトニングでは改善できない変色や、形の不揃いといった悩みに対しても、均一で美しい仕上がりを実現できる点が強みです。金属を使用しないメタルフリー素材であるため、金属アレルギーの心配もありません。
デメリット:歯の切削と寿命への影響
セラミック治療は、被せ物を装着するために歯を削って形を整える工程が不可欠です。健康な歯質を含んだ一定量の削除が必要になるため、歯の寿命に影響が生じる可能性があります。
また、歯を削ることで神経に近い部分が薄くなり、治療後に痛みや知覚過敏が出ることもあります。こうした負担を最小限に抑えるためには、削る量や形成の精度を慎重に判断することが欠かせません。
インプラント治療のメリット・デメリット
インプラント治療は失った歯を補うことにより自然な見た目や噛み心地を回復させる方法であり、主なメリット・デメリットは次のようになります。
メリット:高い機能回復
インプラント治療では、顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に人工の歯を固定します。骨としっかり結合することで、入れ歯やブリッジに比べて動きが少なく、噛んだときの安定感が高いのが特徴です。噛む力も天然の歯に近いレベルまで回復しやすく、硬いものを噛んだときの違和感が少ないという点で、機能回復に優れた治療とされています。
デメリット:治療期間の長さと費用
インプラント治療の代表的なデメリットのひとつが治療期間の長さです。インプラント体を顎の骨に埋め込んだあと、その周囲の骨としっかり結合するまでの待ち時間が必要になります。結合期間を含めた治療期間は数ヵ月から一年程度となり、短期間での治療完了を希望する方には負担に感じられるでしょう。
また治療の工程が多くなるぶん費用も高くなります。
後悔しないために!治療法を選ぶ際のチェックポイント
セラミック・インプラントの治療法を選ぶ際のチェックポイントをご紹介します。
治療の目的を明確にする
セラミック治療とインプラント治療は、治療目的が異なります。まずは何のために治療を受けるのかをはっきりさせることが必要です。
見た目の改善や歯の形・色を整えたい場合はセラミックが適しており、噛む機能を失っている部位を回復させたい場合はインプラントが選択肢になります。目的を整理することで、治療方法の比較が正確におこなえます。
歯の残存状態と骨の量を診断する
インプラントの場合、人工歯根を支えるための十分な骨量が必要です。骨が薄い場合は施術できないことがあります。セラミック治療は自分の歯が残っていることが前提となり、歯の根の状態が治療の可否に影響します。
いずれの治療もレントゲンを用いるなどの検査を受け、骨や歯質の状態を把握することが欠かせません。
経験豊富な医師による総合的な診断を受ける
セラミック治療もインプラント治療も、仕上がりや長期的な安定性には高い技術が求められます。
セラミックでは歯を削る量や形が、インプラントでは埋入位置や角度が、治療の成否に直結します。
両方の治療に精通した医師が在籍し、症例に応じて適切な治療方法を提案できるクリニックを選ぶことが重要です。
まとめ
セラミック治療は歯が残っている場合に見た目や形を整える治療、インプラントは歯を失った部分の噛む機能を回復させる治療と、目的が根本的に異なります。
どちらが適しているかは、現在の口腔内の状態や求める仕上がりによって変わるため、自己判断ではなく専門的な診断が欠かせません。治療方法に迷っている方は、まず医師に相談し、自分にとって最適な選択肢を確認しましょう。
※本記事の内容は公開時点の情報であり、実際のメニュー名や金額とは異なる場合がございます。最新の情報については当院までお問い合わせください。

