セラミックの歯は30年後も機能する？平均的な寿命や長持ちさせるポイントを解説

セラミックの歯は、見た目も自然でかつ寿命も長いという特徴がありますが、30年後まで使い続けることは可能なのでしょうか。

本記事では、セラミック素材の種類ごとの特徴、平均寿命、寿命が縮む原因とその対策について解説します。信頼できる歯科医院の特徴や、長持ちさせるために日常生活で気をつけたいポイントについても詳しく紹介しています。

セラミックの概要

セラミックとは、歯の被せ物や詰め物に用いられる、陶器に似た性質を持つ歯科用素材です。天然歯に近い透明感と色調を再現できるため、審美性が高く、前歯など見た目が重視される部位にも適しています。さらに、金属を含まないため金属アレルギーの心配がなく、経年による変色や劣化が少ないことも特徴です。

また、表面が滑らかでプラーク（歯垢）が付着しにくく、虫歯や歯周病の再発予防にもつながります。一方で、強い衝撃には弱く、装着時の調整や日常のケアが耐久性に大きく影響します。そのため、素材の特性を理解したうえで、適切な使用とメンテナンスをおこなうことが重要です。

セラミックの種類

セラミックにはいくつかの種類があり、素材によって見た目の自然さや耐久性、費用、適した部位が異なります。ここでは、代表的な5種類のセラミックについて特徴と用途を解説します。

イーマックス

イーマックスは、二ケイ酸リチウムガラスを主成分とするオールセラミック素材です。透明感があり、天然歯に近い自然な色調を再現できるため、前歯など審美性が重視される部位に適しています。耐久性は十分にあり、奥歯にも使用できますが、非常に強い衝撃には注意が必要です。

ポーセレン

ポーセレンは、歯科用陶材のみで作られたオールセラミック素材です。色調や光沢の再現性が非常に高く、天然歯に近いレベルの見た目の質感を実現できます。その反面、素材自体が硬く脆いため、強い力が加わると割れやすく、奥歯よりも前歯の治療に適しています。審美性を最優先にしたい場合に選ばれることが多いですが、耐久性の面では他の素材より注意が必要です。

ジルコニア

ジルコニアは人工ダイヤモンドにも使われる酸化ジルコニウムを原料とし、非常に高い強度を誇ります。割れや欠けが起こりにくく、奥歯やブリッジなど強い力がかかる部位でも安心して使用できます。

審美性はイーマックスやポーセレンにやや劣りますが改良が進んでおり、従来より自然な白さを表現できるようになっています。審美性よりは耐久性重視の場合に適した素材です。

ハイブリッドセラミック

ハイブリッドセラミックはセラミック粉末とレジン（歯科用プラスチック）を混ぜ合わせた素材です。適度な柔軟性があり、噛んだときの衝撃を吸収するため、歯や歯ぐきへの負担が少ないのが特徴です。費用が比較的安く、治療期間も短く済むことが多いというメリットがあります。

ただし経年による変色や摩耗が起こりやすく、長期的な審美性ではオールセラミックに劣ります。前歯・奥歯の両方に使えますが、特にコストパフォーマンスを重視する方に適しています。

メタルボンド

メタルボンドは金属製のフレームにセラミックを焼き付けた素材で、金属の強度とセラミックの美しさを兼ね備えています。奥歯など強度が求められる部位でも安心して使用でき、前歯に用いれば自然な見た目も確保できます。

歯ぐきの際に金属が露出すると黒ずみや変色が目立つ場合があることと、金属アレルギーのリスクがあることが注意点です。

セラミックの平均的な寿命

セラミックの歯は、適切な治療と日々のセルフケアがおこなわれていれば、10〜20年程度は持つのが一般的です。素材自体は変色や劣化が起こりにくく、長期間にわたり審美性を保てることが特徴です。

しかし、土台となる歯や接着部分の状態によっては寿命が短くなることもあります。また歯ぎしりなどの強い力、外部からの衝撃などが加わると、欠けや破損のリスクが高まります。

比較対象としては銀歯やレジンが挙げられますが、銀歯はおよそ5〜7年程度、レジンは2〜3年ほどで劣化が起こり、3〜5年程度が寿命の目安といわれています。このことからも、セラミック素材は長期的な耐久性と審美性に優れた素材といえるでしょう。

セラミックの寿命が短くなる要因

セラミックは耐久性に優れた素材ですが、条件によっては寿命が短くなることがあります。特に起こりやすい不具合には「割れ」や「欠け」があり、トラブルの背景には複数の要因が関係しています。ここでは代表的な要因を解説します。

はじめの装着が不適切

セラミックの寿命は、装着時の精度に特に大きく左右されます。被せ物や詰め物の接着精度が悪いと、噛み合わせのズレや2次虫歯のリスクが高まり、早期に交換が必要になることもあります。

精度は歯科医師の技術だけでなく、詰め物・被せ物を製作する歯科技工士の技量にも依存します。そのため、経験豊富な歯科医師と技量のある歯科技工士が連携している医院を選ぶことが重要です。

歯ぎしり・食いしばり

​​就寝中の歯ぎしりや日中の食いしばりは、歯に大きな負荷をかける行為です。これらの習慣があると、セラミックに細かな亀裂が入ったり、欠けたりするリスクが高まります。強い力が繰り返し加わることで寿命が短くなるため、マウスピースの使用などで予防することが推奨されます。

外部からの強い衝撃

セラミックは、一定以上の強い衝撃が加わると割れることがあります。よくあるのは、転倒やスポーツ中の接触によって欠けや割れが起きるケースです。また硬い物を噛んだ際にセラミックの一部に欠けや割れが起こることもあります。

耐久性が高い素材であっても、過度な衝撃には弱いという性質を理解しておきましょう。

ブラッシング不足による汚れの蓄積

毎日のブラッシングが不十分だと、歯や歯茎に汚れや歯石がたまります。セラミックそのものは変色しなくても、もともとの歯に虫歯や歯周病が発生して接着が悪くなるおそれがあります。

土台となる歯がダメージを受ければセラミックの寿命も縮まりますので、日々のブラッシングは非常に大切です。

加齢などによる噛み合わせの変化

年齢を重ねるにつれ、歯並びや噛み合わせは少しずつ変化します。噛み合わせが変わってセラミックの歯に強い力がかかるようになった場合に、セラミックが欠けたり外れたりすることがあります。

定期的な検診で噛み合わせの状態をチェックし、必要に応じて調整することが大切です。

セラミックの歯を30年後まで長持ちさせるポイント

セラミックの歯を長く使い続けるためには、日々のケアや治療環境に注意を払うことが重要です。30年後もセラミックの歯を快適に保つための3つのポイントを紹介します。

技術・実績のあるクリニックを選ぶ

セラミック治療は、単なる「詰め物・被せ物」の装着ではなく、虫歯治療・噛み合わせの設計・型取り・接着など、複数の工程を経て完了します。いずれも精度の求められる工程であり、また歯科医師だけでなく、詰め物や被せ物を製作する歯科技工士の技術力も結果に大きく影響します。

院内に専属の技工士がいるクリニックでは、医師と技工士の連携によって精度の高い治療が提供されやすくなります。

ブラッシング・定期検診によるケアをおこなう

セラミックは汚れや変色に強い素材ですが、土台となる天然の歯は虫歯や歯周病のリスクを抱えています。日々のブラッシングで清潔に保つとともに、歯科医院での定期検診を受けることが重要です。

特に接着部分の汚れは目に見えにくく、セルフケアだけでは不十分なこともあります。クリーニングによって細かい汚れを除去することで、セラミックと天然歯の両方を長持ちさせましょう。

マウスピースで歯ぎしり・食いしばり対策をする

歯ぎしりや食いしばりの癖があると、セラミックの歯に過度な負荷がかかるため、欠けや割れのリスクが高まります。これを防ぐのに有効なのが、就寝時にマウスピースを装着することです。

マウスピースは歯を物理的に保護するだけでなく、無意識のうちにかかる力を分散し、セラミックの摩耗や破損を防ぎます。歯ぎしりの自覚がない方でも、検診の際に指摘を受けたら早めの対策をおすすめします。

まとめ

セラミックの歯の一般的な寿命はおよそ10〜20年です。30年後まで快適に使い続けるには、信頼できる歯科医院の選択と定期的なメンテナンスが不可欠です。
セラミックの歯を長く快適に使いたい方は、治療前に十分な情報を集め、また治療後のケアも怠らないように心がけましょう。

セラミック治療に関するご相談ごとのある方はぜひ当クリニックにお問い合わせください。

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