この記事の監修者

監修者 前田 純 歯科医師
歯科統括院長
前田 純歯科医師
歯科医師。2009年3月奥羽大学歯学部歯学科卒業。同大学歯学部附属病院にて勤務のあと、2012年4月から一般歯科クリニックにて勤務。2016年4月から湘南美容歯科大阪心斎橋院にて勤務を開始し、2019年10月より湘南美容歯科統括院長就任。

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天然歯のような自然さを再現できる「オールセラミック」。金属を使わない素材のため安全性が高く人気を集めています。
本記事では、オールセラミックの特徴や他素材との違い、メリット・デメリット、おすすめな人まで解説します。

オールセラミックとは?

オールセラミックとは、100%セラミック(ポーセレン:陶材)のみで作られた歯の被せ物や詰め物のことです。金属を一切使用しない「メタルフリー」で、光を透過する性質が天然歯に近いため、自然で美しい仕上がりが期待できます。

透明感や艶があり、目立つ前歯の部分治療にもおすすめです。審美性の高さに加え、金属アレルギーのリスクがないため、銀歯やレジンの被せ物や詰め物をオールセラミックに替える方も増えています。

オールセラミックとその他の主要な素材との比較

オールセラミックは高い審美性が特徴ですが、金属に比べるとやや強度が劣るとされています。強い力がかかる奥歯では、ジルコニアや金属などのフレームと組み合わせて使われることがあります。

オールセラミックと他のセラミック素材との違いを以下にまとめました。
セラミック治療を検討の際は、素材の特徴も踏まえて選ぶとよいでしょう。

オールセラミック(ポーセレン) ジルコニアセラミック ハイブリッドセラミック メタルボンド
素材 完全なセラミック素材で天然歯に近い審美性があり、前歯によく使用される 人工ダイヤモンドともいわれるほど強度が高い素材で、奥歯によく使われる セラミックにレジン(プラスチック)を混ぜた素材で変色しやすく、安価であるが審美性の面で劣る 金属を土台としてセラミックをコーティングした人工歯で、歯茎の黒ずみや金属アレルギーの懸念がある
審美性
強度

セラミックの種類については以下の記事もご覧ください。
セラミックの種類は?比較表で6種類を解説

オールセラミックの大きなメリット

圧倒的な審美性

オールセラミックは、天然歯のような白さと透明感が特徴的な素材です。光の透過性が高く、周囲の歯となじみやすいため、自然で美しい仕上がりが期待できます。また、表面が非常に滑らかで、汚れが付着しにくく、長期間使用しても色調の変化が起こりにくい点も魅力です。見た目の美しさを重視したい方に適した、審美性に優れた素材といえます。

身体に優しく、金属アレルギーの心配がない

オールセラミックは金属をまったく使用しないため、金属アレルギーを引き起こす心配がありません。金属を内側に使用するメタルボンドの場合、金属イオンの影響による歯茎の黒ずみ(メタルタトゥー)が生じる恐れがあります。しかしオールセラミックであれば、生体親和性が高く、身体に優しい素材のため黒ずみも生じません。

虫歯や歯周病の再発リスクが低い

オールセラミックは表面がツルツルとした素材で、歯垢(プラーク)が付着しにくい特徴もあります。また、歯や歯茎との適合性が高く、境目に隙間ができにくいため、細菌の侵入を防ぎやすい点もメリットです。虫歯や歯周病の再発リスクを抑えることができ、見た目の美しさだけでなく、長期的に健康な口腔環境を維持しやすい素材といえます。

オールセラミックのデメリット・注意点

見た目や安全性に優れるオールセラミックですが、いくつかデメリットや注意点があります。特に、費用面や治療工程に関しても理解したうえで検討しましょう。

費用は高額になる傾向

オールセラミックは、歯科治療に使われる素材のなかでも最も高品質な部類に入ります。そのため、製作には高度な技術力と繊細な工程が求められ、他の素材と比べて費用が高額になる傾向があります。

相場は1本あたり10〜15万円程度で、基本的には自由診療(保険適用外)となります。ただし、価格だけを見れば高く感じますが、その分だけ見た目・機能性に優れ、長期的に満足度の高い仕上がりが期待できます。

歯を削る必要性

オールセラミックの被せ物(クラウン)を装着するためには、歯を削る必要があります。またオールセラミックの強度を補うためにも一定の厚さが必要になるため、削る量は多くなる傾向にあります。

削りすぎると歯の神経に負担をかける可能性があるため、治療の精度は歯科医師の経験と技術力に大きく左右されます。オールセラミック治療を受ける際は、実績が豊富な歯科医院を選ぶことが重要です。

オールセラミック治療が特におすすめな人

オールセラミックの治療は、以下のような方におすすめです。

誰にも気づかれずに自然な白さを追求したい人

オールセラミックは、光の透過性が高く、天然歯と見分けがつかないほど自然な白さと透明感を再現できます。不自然に真っ白な人工的な歯の場合、周囲の人に被せ物の歯だと気付かれる可能性もあります。しかし、オールセラミックであれば、他の歯と調和する自然な白さを再現できるため、違和感なく口元の印象を明るくできます。

費用よりも品質と長期間の美しさを重視する人

オールセラミックは、変色や摩耗がほとんどなく、長期にわたって使用できる素材です。定期的なメンテナンスをおこなえば、10年以上持つケースも少なくありません。

レジンや銀歯は安価ですが、変色や歯茎の黒ずみなどの恐れがあります。「価格より品質を重視したい」と考える方にとって、オールセラミックは費用対効果の高い選択肢といえるでしょう。

金属アレルギー体質の人

オールセラミックは金属不使用で、身体に優しく安全な素材です。特に金属アレルギーのある方や、将来的な歯茎の黒ずみを避けたい方に適しています。

高品質な審美歯科治療を受けるために

高品質な審美歯科治療を受けるためには、使用する素材だけでなく、医師の技術力や治療体制も重要なポイントです。

オールセラミック治療では、細かな調整や仕上げの精度が見た目の美しさに大きく影響します。また、万が一トラブルが生じた場合でも、保証制度による再治療が用意されていることで、治療後も安心して過ごすことができます。

さらに、定期的なメンテナンスや日常のケアに関するアドバイスなど、施術後のフォロー体制が整っていることも、高品質な審美歯科治療を継続するための大切な要素です。

まとめ

オールセラミックは、見た目・耐久性・安全性を兼ね備えた優れた素材の1つです。費用はやや高くなりますが、その分だけ仕上がりや満足度は高く、長期的に美しい歯を保てます。

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