オールセラミックをレントゲンで撮るとどう写る?

オールセラミックはレントゲンで撮ると白っぽく写ります


レントゲン(X線)は、固形物でもそれを構成するものの種類によって、写り方が異なります。

セラミックは、数種類の石を高温で溶かした後に焼き固めて作られています。

石はレントゲンを吸収する性質を持っているので、レントゲンで撮ると白っぽく写ります

レントゲンの写り方は対象の密度によって変わります

オールセラミックをレントゲンで撮るとどうなるか?
その疑問を解決する前に、レントゲンについてご紹介しましょう。

太陽光には電磁波が含まれ、また宇宙からは常に放射線が地球上に降り注いでいます。

その中の一つに『X線』があり、これを照射することで人の体の中の状態を知ることができることを、1895年にレントゲン博士が発見しました。

ですから、X線照射により撮影された写真を『レントゲン写真』と呼ぶのです。

X線は物を構成している原子、密度などによって透過性や吸収率が異なる性質を持っています。

X線が透過し直接フィルムに到達した部分は、黒っぽく写ります。

そのため、胸部にX線を照射すると、X線が透過する空気が多く含まれている肺は、黒っぽく写ります。

一方、骨の場合ですが、骨は多くはカルシウムでできており、中年期までは骨の密度が高いため、X線を照射するとカルシウムがX線を吸収するため、白っぽく写ります。

脂肪や筋肉、皮下組織などは骨ほどX線を吸収することはありませんが、空気ほどの透過性も持っていないので、やや白っぽく写ります。

このように、レントゲン写真は物の構成要素や密集度によって写り方が違うことを利用して、体内の状態を表してくれているのです。

レントゲン撮影をすると、銀歯は真っ白、レジンは薄い白に写ります


歯医者へ行くと、中の状態を知るためにレントゲン写真を撮ることがあります。

歯の表面にあるエナメル質、およびその下にある象牙質はハイドロキシアパタイトで構成されています。

このハイドロキシアパタイトはカルシウムとリンとで構成されています。

カルシウムは骨にも含まれていますよね。

ですから、身体にX線を照射すると骨が白っぽく写るのと同様、歯も白っぽく写ります。

歯の治療を受けた場合、詰め物(インレー)やかぶせ物(クラウン)が施されている場合がありますが、その材質によって写り方は異なります。

奥歯に多い銀歯(金銀パラジウム合金)はX線を吸収するため、X線を照射すると真っ白に写ります。

その白さも密度が高いので、天然の歯とはっきり区別できるほどに白く写ります。

一方、レジン(プラスチック)の場合、プラスチックにもX線を吸収する作用は持っていますが、密度が低く金属ほどの吸収率ではないために、白っぽくは写りますがその程度は金属とは比べ物にならない程に薄いのです。

ちなみに、X線検査を受けるときに心配になるのが、被ばくの問題ではないでしょうか。

歯科であっても、「妊娠中の方はX線検査は避ける」ため、どれほど浴びているのか不安になるものです。

X線は屋外にいるときにも浴びていますが、歯医者でX線検査を受けるときに浴びるその量は、大気中に浴びるそれと比べても非常に少ないです。

また、胸部のレントゲン写真を撮るときに浴びるX線量が0.1mSvであるのに対し、歯科では0.05mSvと非常に微量なので、脳への心配はありません。

オールセラミックの材料は石ですから、レントゲンでは白っぽく写ります

セラミックは、数種類の石や砂を混ぜ、焼き固めることで作られています。

石もそのままではなく、一度高温で溶かした後、整形して焼き固めています。

普通の石にX線を照射すると白く写りますが、セラミックの場合もそれと同様に、レントゲン写真では白く写るのです。

ただし、金属ほどに密度が高いわけではないので、銀歯よりもやや黒っぽく、けれどプラスチックよりも白っぽく見えます。

セラミッククラウンの場合、クラウンの強度を高めるためにクラウンの内側に金属を貼り付けているものもありますが、オールセラミックの場合はクラウンすべてがセラミックでできていますので、本来の歯よりもやや白っぽく写ります。

ちなみに、セラミックは歯垢が付きにくいために虫歯になりにくいとは言われますが、接着が不十分な場合にクラウンと土台となっている天然の歯との間で虫歯を起こすことがあります。

一般的に虫歯はレントゲン写真でわかりますが、クラウンがオールセラミックの場合はクラウンのX線吸収率に阻まれ、虫歯は見つけられません。

そのため、クラウンと土台の間で虫歯になっているか否かは、クラウンを外し削ってみなければわからないため注意が必要です。

(まとめ)オールセラミックをレントゲンで撮るとどう写る?

1.オールセラミックはレントゲンで撮ると白っぽく写ります

物にレントゲンを照射すると、レントゲンを吸収した部分は白っぽく写ります。

セラミックの材料である石はレントゲンを吸収する性質を持っているので、オールセラミックにレントゲンを照射すると白っぽく写ります。

2.レントゲンの写り方は対象の密度によって変わります

X線は、写す対象となるものの成分や密集度によって透過性や吸収率が異なります。

この特性を利用して、身体に照射したときの写り方を見て体内の状態を知ることができます。

3.レントゲン撮影をすると、銀歯は真っ白、レジンは薄い白に写ります

歯は骨と同様、カルシウムで構成されていますから、X線を照射すると白く写ります。

ですが、銀歯など金属と比べその密度が低いために、金属を写した場合よりもやや薄い白(黒に近い)になります。

4.オールセラミックの材料は石ですから、レントゲンでは白っぽく写ります

セラミックの材料は石と砂ですから、X線を吸収するために、オールセラミックでクラウンを使った場合は銀歯ほどではありませんが白く写ります。

そのため、クラウンの中で虫歯になっているか否かは、レントゲン写真では見つけられないようです。

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