知らないと失敗するセラミック矯正のデメリットは?

無敵に思えるオールセラミックにもいくつかのデメリットがあります

歯の矯正というとワイヤーやマウスピースを使って矯正するのが主流でしたが、最近ではセラミック矯正も人気の方法です。さまざまな成功例やメリットが語られていますが、デメリットやリスクもあり、セラミック矯正で失敗したと感じる方もいるようです。施術を受ける前に、デメリットや失敗例を事前に把握することで、失敗を回避できたり、自分に最適な他の治療法を選択できます。「失敗したくない!」と考えている方は、まずこの記事で、失敗例を確認してからセラミック矯正を検討してみてください。

知っておくべきセラミック矯正のデメリット

セラミック矯正は、セラミックス素材の人工歯を天然の歯に被せることで、見た目や歯並びを改善する方法です。多くのメリットがあり人気のある歯列矯正ですが、もちろんデメリットもあります。主に挙げられるデメリットは以下の4つです。

強度と耐久性には限界がある

セラミック矯正で使用される「セラミックス」は陶器と同じ素材でできており、十分な強度があります。しかしその強度と耐久性には限界があり、割れやすいともいわれています。陶器と同じ素材と考えていただけるとわかるように、急に強い力が加わると割れることがあります。噛む力が強く負担も大きい奥歯にはあまりおすすめできません。また、普段から激しいスポーツをする方など、転倒や強い衝撃で歯が欠ける場合もあるため不向きといえます。

他の歯に負担がかかる

「強度と耐久性には限界がある」と述べましたが、セラミックスはもともと天然の歯よりも硬い素材です。普段の生活で割れることはほぼありませんが、逆に他の歯(天然歯)に負担がかかる場合もあります。オールセラミックを入れた周辺の歯や、噛みあう歯にかかる負担が大きくなる場合があり、天然の歯を傷めてしまうことがあります。そのため、セラミック矯正では噛み合わせもしっかり調整することが重要です。

歯を削る量が多くなる

セラミック矯正の大きなデメリットとして挙げられるのが、歯を削る必要がある、ということです。歯を削ってそこにセラミックを被せますので、どのような場合でも歯は削ります。虫歯であれば歯を先に治療しなければならず、場合によっては神経を抜くこともあります。セラミックの耐久性には限界があるため、セラミックに厚みを持たせるためにも歯を削る量は多くなります。

痛みを感じることがある

セラミック矯正は、局所的な痛みを感じることがあります。歯を削る際に象牙質が出てしまい、染みるような痛みを感じる方もいます。施術直後は麻酔が効いていますが、麻酔が切れると痛みを感じるようになります。知覚過敏のような染みる痛みであり、痛みがあってから1分程度で落ち着く単発的な痛みです。冷たい物を飲んだときや、歯ブラシで磨いたときに感じやすいといえます。また麻酔をかける際にも当然ながら、多少痛みが生じます。施術のあと、神経や歯肉に痛みを感じる人もいますが、痛み止めで抑えられます。基本的に痛みは日が経つごとになくなりますが、痛みが続く場合は、医師に相談する必要があります。

セラミック矯正のよくある失敗

セラミック矯正には上記で紹介したようないくつかデメリットがあり、どんなことが起きるかを踏まえて検討する必要があります。ここでは、実際にどういった失敗があるのか、よくある失敗例を4つ挙げていきます。

被せたもとの歯が虫歯になった

セラミック矯正は、削った天然の歯にかぶせ物をするため、もとの歯とセラミックの間にすき間が生じてしまう場合があります。このすき間に汚れが溜まることで、もとの歯が虫歯になってしまうというケースがあるようです。
虫歯になってしまった場合は治療が必要なため、セラミックのかぶせ物を取って作り直しをしなければなりません。セラミックが虫歯になることはありませんが、もとの歯が虫歯になってしまう可能性はあるため、日頃のセルフケアが大切になります。

セラミックが割れて交換が必要になった

デメリットでも紹介したように、セラミックの強度は限られています。転倒や激しいスポーツでも割れてしまう可能性があります。欠けたり割れたりした箇所の修正は難しいため、再度作り直しが必要となり、失敗や後悔を感じる方もいるようです。

セラミック矯正後に痛みがある

矯正後に痛みを感じる方も少なからずいるようです。セラミック矯正をした直後は神経が過敏になっているため、特に歯ぎしりや食いしばる癖がある方は、痛みを感じます。噛み合わせが合っていない場合にも痛みが生じます。歯を削ったことで知覚過敏に近いしみるような痛みを感じる方もいますが、数日で痛みは消える場合が多いです。痛みが消えずに続く方は神経治療が必要な場合もありますので、医師に相談しましょう。

歯の色が不自然に見える

セラミックの色は天然の歯に近い色をしており、審美性に優れて見た目もよいのですが、他の歯と比較して不自然に浮いてみえることもあるようです。
セラミック歯の色にはカラーバリエーションがいくつかあり、通常自分の歯に合わせて色を選べます。ところが、患者さまの希望が極端だったり、医師の経験不足で色調が合わなかったりすると、矯正をしたことが明らかで不自然な見た目になってしまいます。またセラミック矯正後に全体的な歯のホワイトニングは難しく、あとから色調を合わせるのは困難なため、後悔した方もいるようです。

失敗を防ぐためにできること

セラミック矯正で失敗したという例はさまざまありますが、実は未然に防げることがほとんどです。失敗をうまく回避するためのポイントを紹介します。

セルフケアを怠らない

もとの歯が虫歯になってしまうケースは、日々のセルフケアを怠らないことで回避できます。かぶせ物のため、すき間や段差ができるとはいえ、そのすき間はごくわずかなものです。セラミックは天然の歯と相性がよく、密着してなじみやすいともいわれています。そのため日々のセルフケアをしっかりしていれば、汚れが溜まることもほとんどなく虫歯にもなりません。確実に解決するには、医院で定期的なメンテナンスを受けることをおすすめします。

適切な治療法を選択する

セラミック矯正で失敗しないためには、自身に合った治療法を選ぶことが必要となります。セラミックが割れたり、欠けたりするのは、激しいスポーツや転倒などの強い衝撃を受けた場合になります。普段からスポーツをされる方は、強度が最も高いフルジルコニアセラミックがおすすめです。ジルコニアは人工ダイヤモンドで作られており、セラミックのなかで最も高い強度を持ちます。
他にもセラミックにはいくつか種類があり特徴も異なるため、自分に合った適切な素材や治療法を選ぶことで、失敗を回避できます。
歯ぎしりの癖がある場合はセラミック割れの原因になるので、セラミック矯正の前に改善したり、治療後でもマウスピースを活用することで他の歯を傷付けずに済むでしょう。

痛み止めを処方してもらう

セラミック矯正は歯を削ることによって、治療後に痛みを感じることがあります。このような場合は痛み止めを処方してもらいましょう。基本的に痛みは一時的なもので、治療のあと2週間程度で痛みがなくなることが多いです。またセラミックには、ラミネートベニアという歯を削らない、あるいは歯を削る量がごくわずかに抑えられる治療法もあります。
歯を削ることや治療後の痛みが心配な方は、医師に相談しましょう。

希望に合うように医師としっかり話し合う

歯の色が不自然になってしまう失敗例はいくつかあるようですが、これは医師としっかりすり合わせをすることで解決できます。患者さまの希望を優先するだけでは、歯の色の整合性がとれない場合があります。プロの目から周辺の歯と整合性がとれるのか、色合いは不自然ではないかなど、しっかり助言してくれるクリニックを選び、カウンセリングで話し合うことが大切です。

セラミックのメリットもあります

ここまでセラミックのデメリットや失敗例を挙げてきましたが、それ以上にメリットもあり、多くの人がセラミック矯正を受けています。
ここでは、セラミック矯正のメリットを紹介します。

 

金属アレルギーの心配がない

セラミックは金属を一切使わないため、アレルギーの心配がありません。
金属を用いる差し歯硬質レジン前装冠では差し歯の表面にプラスチック素材を貼り付ける方法が用いられます。
金属を用いる治療の場合、唾液の中に金属が溶け出し体内へ流れ込み、金属アレルギーを引き起こす可能性があります。
セラミック矯正にはそういった心配がないというメリットがあります。

短い期間で矯正ができる

セラミック矯正は、他の方法に比べて短い期間で矯正ができます。
セラミックの一般的な施術の流れは以下のとおりです。 

  • 神経治療
  • 仮歯の取り付け
  • 型どり
  • セラミックの歯の取り付け

一度にすべての施術はおこなえませんので、2週間毎に通院するとして、4回から5回ほどの通院となり、長くても2ヶ月から3ヶ月で施術は完了します。
また1度の施術時間も1時間前後と、それほど長くはありません。たとえば、
ワイヤー矯正だと矯正が完了するまでは短くても2年ほどかかるのが普通ですが、そのような方法と比べると、セラミック矯正は遙かに短い期間で終了します。

少しでも短い期間で矯正が終了するということは、それだけ不自由な期間も短くて済み、早く普通の生活に戻れるのです。

天然の歯のような色

セラミックは陶器に使われる素材で、自然な白さや透過性を持っています。
カラーバリエーションも豊富なため、より自然な色を再現できます。また耐久性があり、経年劣化による変色もありません。口内は、飲食による温度変化や常に唾液や細菌などにさらされる変化の激しい環境にあります。こういった環境下で、銀歯やレジン(プラスチック)を使った差し歯の場合、長年使うと黄ばんでしまったり、黒ずんでしまったりすることが多く、銀が溶け出してしまうこともあります。その反面、セラミックの場合は耐久性に優れているため変色せず、劣化もしません。自然な白い歯がいつまでも保たれます。

歯の見た目を改善できる

セラミックの人工歯を被せますので、出っ歯やすきっ歯、虫歯で神経を失い黒くなった歯、黄ばんだ歯、大きすぎるまたは小さすぎる歯、左右不揃いの歯など、様々な歯の悩みも矯正で改善できます。歯並びが悪くて気にしている人以外にも、歯の色や形で悩んでいる方も、矯正すると改善が可能なのです。
歯の大きさ、形、角度、位置、色、透明感など、一人ひとりに合わせ、バランスを考えて施術をすることで、全体的な見た目を改善できます。元の歯が黄色かったり黒ずんでいたとしても、セラミックを被せて白い歯にすることもできます。歯茎や口腔内には外科的な施術はおこないませんので、腫れや出血、痛みなども少なく済みます。また矯正をおこなう間は自然な歯に近い仮歯を入れて過ごすため、周囲に矯正をしていると知られる心配もありません。

セラミックは特に前歯におすすめです

奥歯の場合、食べ物をすりつぶすときや力仕事などで歯を食いしばる際に、強い力がかかることがあります。そのため、奥歯でオールセラミックを使用すると、セラミックのデメリットである割れやすさが懸念されます。
その点、前歯の場合は酷く硬いものを噛むなどしない限り割れる心配はありません。また、セラミックは変色しにくく審美性が高いので、人と会話したり大きな口を開けて笑ったりする際に目立ちやすい前歯の色を気にする必要ありません。
奥歯の場合は歯周ポケットと呼ばれる部分のブラッシングは鏡を見ながらおこなうことが難しいですが、前歯の場合は比較的楽に鏡を見ながら歯ブラシの毛を当てていくことができるので、お手入れもしやすいといえるでしょう。
こういった点から、セラミックは前歯に適しているといえます。

ただ、年と共に歯茎は痩せて下がっていきます。その際にオールセラミックと土台との境目が見えてくることがありますが、これは硬質レジン前装冠でも同様のことがえますので、オールセラミックのみに限ったことではありません。

失敗しないためにも治療実績が豊富なクリニックを選ぼう

セラミック矯正にはデメリットもありますが、同時にメリットも多くあるのが人気の由縁です。失敗した、後悔した、という声もありますが、事前にセラミック矯正のデメリットなどを把握することで回避できるはずです。
人気のセラミック矯正ですが、治療には高度な技術や経験が必要なため、クリニック選びも重要になってきます。機能性だけでなく、歯のバランスや色調を合わせるなど、プロの技術と知識があってこそ、納得のいくセラミック矯正が実現できるといえます。
湘南美容クリニックでは、豊富な実績と技術のある医師が在籍しています。セラミック矯正はもちろん、他の治療法も多く取り扱っており、一人ひとりに合った最適な方法を提供しています。デメリットや失敗例を踏まえたうえで、自分に合った治療法はあるのか、まずはカウンセリングで相談してみてはいかがでしょうか。

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