受け口の施術で全身麻酔をするのは、外科的矯正施術のときです
外科的矯正施術は、顎の骨を切る大掛かりな施術になるため全身麻酔を使用します。
主に骨格が原因で受け口になる顎変形症の場合に外科的矯正施術をします。
手術室で全身麻酔をかけるためお客様は眠った状態になります。
そのため施術に伴う痛みは感じなくなります。
施術が終わり、全身麻酔が半分覚めた状態になってから病室に戻ることになっています。
外科的矯正施術をする場合は顎変形症のケースが多いです
顎変形症がなぜ歯列矯正で治らないかというと、噛み合わせのズレの他に下顎の骨格的な問題があるからです。
例えば、下顎の位置、顎が異常に大きくなっている、顎の変形がひどい場合などです。
顎変形症にも様々な種類がありますが、受け口の症状があるのは、下顎前突症といいます。
もし、顎の骨格がズレたままの状態で歯列矯正をした場合、歯や歯茎に大きな負担をかけることになってしまいます。
そのため顎変形症も原因である受け口の場合は、歯列矯正の施術前または施術後に外科的矯正施術も行う必要があります。
顎変形症が進行してしまうと、受け口での症状以外に下記のような症状が起こる可能性があります。
- 顔が左右非対称になってしまう
- 無理をしないと口を開けられないもしくは閉じられない
- 顎関節の痛みが生じる
- 顎関節から雑音がする
- 顎の痛みが出てくる
このような症状がある場合は、生活に支障が生じる可能性があります。
早期に医院で診てもらうことをおすすめします。
外科的矯正施術は様々な施術方法があります
顎変形症の施術は症状やタイプによって施術法が違います。
顎変形症で受け口の施術をする場合は、下記の外科的矯正施術方法で治します。
- セットバック法
下顎骨を分節骨切法で下顎を歯がついたまま骨切りをします。次に骨切りした下顎を後方に理想の場所まで移動をする施術法です。場合によっては上下顎のバランスを考慮するために上顎も一緒の方法で施術する可能性があります。
受け口の症状がある下顎前突の他に出っ歯の症状がある上顎前突出症を治すこともできます。
- 下顎枝室城分割法
左右のエラから上辺りの頬の内側を切り、エラ部分の左右の骨を内側と外側で2枚分割します。外側の顎関節部分の骨は保ち、歯がついた内側の骨のみ正しい噛み合わせの位置に移動する施術です。 - 下顎枝垂直骨切り術
左右のエラから上辺りにある頬の内側の歯茎を切ります。そして、顎の骨を上から一直線に骨切りをします。下顎は左右の関節部分、歯がついている骨部分で分離します。
歯がついている骨のみ正しい噛み合わせの位置に移動します。
- 下顎骨体切除術
下顎の一部を切り取り短縮する施術法のことです。 - 下顎前歯部歯槽骨切り術
下顎の歯を抜歯し、隙間を作ります。次に下顎に歯がついたまま切り離します。この状態で下顎を後退させて正しい位置に固定することです。
どの施術が自分に合っているのかは、医師と相談して決めることが大事です。
外科的矯正施術は健康保険が適用されることがあります
国で指定された医療機関で受け口を診てもらった際に、顎変形症と診断を受け施術をした場合のみ保険が適用されます。
国で指定された医療機関とは、具体的にいうと、自立支援医療機関(育成医療・更生医療)もしくは顎口腔機能診断施設の指定を受けている医療機関のことです。
健康保険が適用される場合、歯列矯正の費用から外科的矯正施術に伴う入院費用は、保険診療の負担割合で施術を受けることができます。
例えば、保険の負担額が3割の場合は大体40~50万円負担することが多いようです。
保険が適用されるだけで施術や入院費などの費用を抑えることができます。
しかし、歯列矯正のみの場合は保険が適用されませんので気を付けましょう。
保険が適用されない医療機関で施術をする場合は全て自費費用となります。
歯列矯正や外科的施術の費用、それに伴う入院費などを合わせると約200万円かかる可能性があります。
これらの金額をしっかり覚えておくと、今後施術する際に役立ちます。
(まとめ)受け口の施術で全身麻酔をする場合があるの?
外科的矯正施術の場合、他の受け口の施術とは違い顎の骨を切るので全身麻酔をします。
外科的矯正施術は主に顎変形症を治す際にします。
全身麻酔をかけるタイミングは手術室のため、施術に伴う痛みはありません。
安心して施術を受けましょう。
下顎前突症の場合は噛み合わせと下顎の骨格などの問題があるため歯列矯正前後に外科的矯正施術も行います。
顎の骨格を施術しないまま歯列矯正をすると、歯や歯茎に負担をかけてしまいます。
受け口は生活に支障が出ますから、早期に診察してもらいましょう。
顎変形症の施術法では、セットバック法、顎枝室城分割法、下顎枝垂直骨切り術、下顎骨体切除術、下顎前歯部歯槽骨切り術などがあります。
自分の症状やタイプで施術法が変わります。
医師とよく相談し、自分にとってベストな施術法を選ぶことが大切です。
国に指定されている自立支援医療機関(育成医療・更生医療)や顎口腔機能診断施設の指定がある医療機関で、顎関節症と診断を受けた場合、健康保険を適用できることがあります。
歯列矯正のみでは健康保険が適用されないので注意が必要です。