口の中の病気のチェックポイント

口腔粘膜の状態で病気がわかる?

口の中の病気のチェックポイント

口の中の粘膜(口腔粘膜)には、いろいろな病気が発生します。多くの人が経験する「口内炎」は口の中や舌の粘膜に起きる炎症の総称で、その原因は多岐にわたり、症状や痛みの程度もさまざまです。口内炎と思っていたものが、実はがんだったということもあります。

口の中の病気の症状は似ていることが多く、鑑別が難しいのですが、粘膜の状態や色調の変化は診断の有用な手がかりとされています。自分の目でチェックする際のポイントと、該当する代表的な病気を紹介します(表1)。

表1 口腔粘膜の変化と代表的な病気

変化 特徴 代表的な病気
粘膜表面の状態 腫れている ザラザラしている

水ぶくれがある

表面の変化はない

口腔がん、乳頭腫など

単純疱疹、帯状疱疹など

歯肉増殖症など

えぐれている 小さい潰瘍

1~数個

多数集まっている

大きい潰瘍

潰瘍の周辺が硬い

 

アフタ性口内炎など

ウイルス性口内炎など

天疱瘡など

口腔がんなど

色調中心 赤くなっている

白くなっている

黒くなっている

紅板症など

白板症、カンジダ症など

悪性黒色腫など

ザラザラした白い病変は口腔がんの疑いあり

粘膜の状態は、「腫れている」と「えぐれている」に分けるとわかりやすくなります。

①腫れている

粘膜表面の状態から、ザラザラしているもの、水ぶくれ(水疱)があるもの、表面に変化はなく腫れているだけのものに大別できます。

【ザラザラしているもの

  • 口腔がん:初期はザラザラした白い病変で、通常、痛みはありません。触ってみて硬い場合やしこりがある場合は、少し進行している可能性があります。発生場所は舌が最も多く、次が歯肉です。
  • 乳頭腫:白い突起が集まっているようにみえます。良性腫瘍です。

【水ぶくれがあるもの】

  • 単純疱疹:単純ヘルペスまたは口唇ヘルペスともいわれます。再発を繰り返しやすいのが特徴です。
  • 帯状疱疹:症状は体の片側だけに出るのが特徴で、早く治療をしないと、治りにくい神経症状(帯状疱疹後神経痛)が残ることがあります。

どちらの病気もウイルスが原因で、風邪やストレスなどが誘因となり、体力が低下したときに発症しやすいといわれています。

【腫れているだけのもの】

  • 歯肉増殖症:てんかんの治療薬やカルシウム拮抗薬(高血圧の薬)、免疫抑制薬などの薬剤の副作用で歯肉が肥大します。歯肉の慢性炎症が誘因となるので、プラークコントロールをしっかり行うことで改善しますが、薬剤の変更が必要になることもあります。

②えぐれている

えぐれているとは、粘膜上皮がなくなった「潰瘍」の状態です。潰瘍は水疱が破れてもできますし、がんによって形成されることもあります。

【小さい潰瘍】

  • アフタ性口内炎:アフタとは、外側が赤くて中心部が白い、境界のはっきりした丸い潰瘍のことです。発症の原因はわかっていませんが、体調不良のときにできやすいことが知られており、痛みを伴います。アフタの数は1~数個で、通常、1~2週間で自然に治ります。自己免疫疾患のベーチェット病の代表的な症状でもあります。
  • ウイルス性口内炎:単純疱疹や帯状疱疹などの水疱が破れて潰瘍になったものです。はじめは小さな潰瘍の集まりですが、それぞれがつながって大きな潰瘍になっていきます。痛みが強く、刺激物などによって痛みが増強します。

【大きい潰瘍】

  • 天疱瘡…皮膚や粘膜にできる自己免疫疾患です。

【潰瘍の周辺が硬い】

  • 口腔がん:進行すると潰瘍ができ、その周辺が硬くなります。痛みを感じることも少なくありません。

色調変化が中心の病気も

粘膜表面に腫れやえぐれのない病気もあり、その場合の異常のサインは主に色調変化として現れます。

赤くなっている

  • 紅板症:境界のはっきりした鮮紅色でビロード状の病変です。合わない入れ歯による慢性的な刺激が誘因になるとされています。がん化する確率の高い前がん病変なので、注意深い経過観察が必要です。

白くなっている

  • 白板症:こすってもとれない白い板状または斑状の病変で、頬粘膜、舌、歯肉などにできます。前がん病変であり、がん化する可能性があります。合わない入れ歯などが関係するとされています。
  • カンジダ症:口の中に住んでいるカンジダという真菌が、粘膜で増殖して白い膜を形成します。体調がよくないときに発症しやすい病気で、口の中の衛生状態も影響します。

黒くなっている

  • 悪性黒色腫:粘膜が黒くなる悪性腫瘍です。黒い部分が盛り上がることもあります。進行が速く、早期にリンパ節転移を起こしやすいので、気づいたらすぐに受診しましょう。

口の中の大部分は自分の目で確認できます。口腔粘膜に異常や違和感があるとき、鏡を使ってチェックすると、深刻な病気の早期発見につながるかもしれません。

 

〈参考資料〉

下山和弘, 秋本和宏(編), カラー版 やさしい歯と口の事典.医歯薬出版 2018

齊藤力(編)ほか, 口と歯の病気マップ. 医歯薬出版 2003

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