美しい歯は、口腔ケアが出発点

美しい歯は、口腔ケアが出発点

審美歯科の受診希望者は、まず健康な歯を目指そう

毎日、まじめに歯磨きをしているのに、むし歯になったり、歯周病になったりして困っているという人が多いのではないでしょうか。

厚生労働省の調査によると、毎日2回以上歯を磨いている人は、1969年に16.9%しかいなかったのですが、この割合は年々増えて、2016年では77.0%になりました。10~14歳でむし歯をもつ人の割合を比べると、1993年の86.4%に比べ、2016年は19.7%と劇的に減少しました。

ところが、25~34歳で比べると、1993年は98.7%だったのに対し、2016年は90.2%でした。多くの人が歯磨きをするようになり、子どものむし歯は減ったのですが、残念なことに、成人のむし歯はあまり減っていないのです1

また、歯周病になっている人の割合は、1999年と2016年を比べると、全世代で増えています(1)。

図1 歯周病(歯周ポケットが4mm以上)を有する人の割合の年次推移

歯周病は、いろいろな原因が考えられると思いますが、1ついえるのは、セルフケアだけでは限界があるということです。口腔ケアには自分で行うセルフケアと、歯科医師や歯科衛生士が行うプロフェッショナルケアがあります。この両方をうまく活用する必要があるといえます。

美しい歯並びや歯の白さを求めて審美歯科を訪ねる人でも、診察するとむし歯だらけだったり、歯周病が進行していたり、といったことが少なくありません。美しい歯を求めるならば、日ごろからセルフケアだけでなく、プロフェッショナルケアも利用して健康な歯にしておくことがとても大切です。

口腔疾患と全身の健康との関係

口腔ケアは、歯の健康や美しさだけに関係するわけではありません。全身の健康にも関係しています。

たとえば、糖尿病の人は糖尿病でない人に比べ、むし歯の発症率が高いことが示されています2。糖尿病は、特に歯周病と深い関係にあると考えられおり、歯周病の進行に伴って糖尿病の罹患率が高まり、重度の歯周病では糖尿病の発症が強まる可能性があることが報告されています3

糖尿病になると、口の中が乾燥しやすくなることから、唾液による自浄作用が低下して、歯肉に炎症が起こりやすくなったり、高血糖によって細菌に対する抵抗力が低下することなどが示されています4。また、歯周病になると、インスリンが働きにくくなり、血糖コントロールを悪くすると考えられています5。歯周病と糖尿病は、相互に悪い影響を与え合っているわけです。

糖尿病だけではありません。口腔ケアは肺炎との関係も深いとされています。それは、肺炎患者の肺を調べると、口の中の細菌が検出されるからです。歯周病菌など口の中の細菌が多い状態になっていると、食道に入るべき飲食物が気管に入る誤嚥(ごえん)を起こした際に、その細菌が肺に入り、肺炎を起こしやすいのではないかと考えられています6

このほか、メタボリックシンドロームや脳卒中、認知症など、さまざまな病気と歯周病との関係が研究されています7

このように、むし歯や歯周病は、全身の健康状態の悪化を招きます。美しく健康な人生を送りたいと考えている人は、口腔ケアに関心を持ち、むし歯や歯周病を予防したり、早めに治療したりすることがとても大切なのです。

 

1)厚生労働省, 平成28年 歯科疾患実態調査

2)Sandberg GE, et al. Diabetes Res Clin Pract. 2000; 50(1): 27-34.

3)Borgnakke WS, et al. J Periodontol. 2013; 84(4 Suppl): S135-52.

4)日本糖尿病学会(編), 糖尿病診療ガイドライン2016. 南江堂 2016

5)Demmer RT, et al. Diabetes Care. 2008; 31(7): 1373-9.

6)奥田克爾, ほか. 歯科学報. 2005; 105(2), 129-37.

7)日本歯科医師会, 健康長寿社会に寄与する歯科医療・口腔保健のエビデンス 2015

 

《参考資料》

日本歯周病学会(編), 歯周病と全身の健康 2016

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