妊婦さんの歯茎の色が変わりやすいのは、歯周病が悪化しやすくなるためです
妊娠中は、通常の女性の状態と比べて、女性ホルモンの分泌量が大幅に増加するといわれています。
歯周病の原因菌は女性ホルモンを養分にすると考えられているため、妊娠すると歯周病にかかりやすい、悪化しやすい傾向にあります。
歯周病にかかり歯茎に炎症が起こると赤く腫れ、進行するとともに黒ずみを起こすと考えられます。
妊娠すると歯茎の色が変わりやすいのは、そのためです。
妊娠中に分泌が多くなる女性ホルモンが歯周病を招きます
歯茎の黒ずみが気になる、歯茎の変色が目立つことで悩んでいらっしゃる方もいるでしょう。
歯茎の変色は食べ物や飲み物の色素、喫煙の習慣、歯の詰め物や被せものなど様々な原因で起こると考えられています。
その一つに、歯周病も挙げられています。
歯周病になると歯茎に炎症が起こり、赤く腫れてしまうことがあります。
さらに、進行していくにつれて歯茎に黒ずみが起こる可能性があります。
妊婦さんは、そうでない人に比べ、歯周病にかかりやすい、悪化しやすいといわれています。
その理由は、妊娠中に分泌量が多くなるエストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモンだと考えられています。
歯周病の原因菌である歯周病関連細菌は女性ホルモンを養分に活性化するというのです。
そのため、妊娠すると歯周病にかかりやすく、実際に多くの妊婦さんが歯周病を抱えているといいます。
妊娠中に歯周病にかかることを「妊娠関連性歯肉炎」と呼ぶこともあります。
また、妊娠中はお口のケアがどうしてもおろそかになりがちです。
口内環境が悪化しやすいことも歯周病を悪化させてしまう原因の一つだと考えられます。
歯周病の人は早産のリスクが高くなります
「歯周病の人は、そうでない人に比べて早産リスクが高い」という話を聞いたことがある方もいるでしょう。
この話の真偽は、国内外の調査によって明らかにされています。
まず、1996年にアメリカで行われた研究により発表された内容です。
「早産の危険因子の1つ」という研究内容によると、歯周病でない人に比べ、歯周病が進行している人の方が早産や低体重児を出産するリスクが7.5倍も高かったということです。
初産ではその数値は8倍にもなるといいます。
次は、2003年に日本の鹿児島大学と鹿児島市立病院産婦人科との共同にて行われた調査により発表された内容です。
歯周病でない人に比べ、歯周病が進行している人の方が早産や切迫早産などのリスクが5倍も高いという結果が出たというのです。
喫煙や飲酒にも早産のリスクはありますが、その数値は3倍となるため、歯周病の方が早産のリスクが高いと考えられます。
さらに、歯周病になると、プロスタグランジンなどの物質により歯茎に炎症を起こすといいます。
これらの物質は、血液を通して子宮にまで達するため、結果的に子宮を収縮させてしまう恐れがあるといわれています。
子宮の収縮により胎児が下方に向かわざるを得なくなると考えられています。
妊娠初期でもクリニックで歯周病のケアを行いましょう
妊娠する前に歯周病の治療を行うのが理想的ですが、妊娠してから歯周病の症状に気が付いた、発症してしまった場合にはすぐにクリニックに相談することをおすすめします。
妊娠初期のうちに口内環境をチェックしてもらい、どのように治療していくのかという計画を歯科医師と一緒に立てていきましょう。
妊娠中の虫歯や歯周病治療では、レントゲン撮影や麻酔、痛みどめなどが胎児に悪影響を与えるのではと懸念されている方も多いでしょう。
レントゲンに関しては、母体にも胎児にも悪影響を及ぼさない放射線量を使用しているクリニックがほとんどです。
また、麻酔についても、悪影響の出ない量を守れば安全性は高いとされています。
痛みどめの中にはアスピリンやイブプロフェンなどに含まれる成分が胎児に悪影響を与える場合もありますが、歯科医師に相談すればそれ以外の薬を処方してもらうことも可能です。
一般的には、妊娠初期を過ぎた頃から治療に入ることが多いです。
しかし、歯のクリーニングや歯石の除去、小さな虫歯の治療を行うだけでも歯周病の進行を抑える効果が期待できるでしょう。
(まとめ)妊婦の歯茎の色が変わりやすいのはなぜ?
歯茎の色を変色させる原因の一つに「歯周病」が挙げられます。
歯周病の原因菌は、妊娠中に分泌量が増える女性ホルモンで活性化すると考えられています。
妊娠すると歯茎が変色してしまうのは、歯周病が悪化しやすいからだといえます。
歯周病は歯茎を変色させる原因の一つです。
妊婦さんは歯周病の悩みを抱えている方が非常に多く、その理由には二つ考えられます。
一つは、歯周病関連細菌の養分となる女性ホルモンの分泌が多くなること、二つ目はお口のケアに時間をかけられないことです。
アメリカや日本で行われた研究では、歯周病の人はそうでない人に比べて早産のリスクが高まることが明らかにされています。
これは、喫煙や飲酒よりも高い数値です。
歯周病により発生する物質が子宮の収縮を起こしてしまうのが原因だと考えられています。
妊娠初期の虫歯や歯周病の治療では、レントゲンや麻酔に関してはきちんとしたクリニックで施術を受ければ問題ないとされています。
妊娠初期を過ぎるまでは歯のクリーニングなどで歯周病の進行を抑えるのが一般的です。