無敵に思えるオールセラミックにもいくつかのデメリットがあります
セラミックは硬い素材なので気を付けてさえいれば割れる心配はありませんが、周りの歯や噛み合わせの歯を痛める可能性があります。
また、最近になってできた素材なので、長期的な耐久性や予後が不明な点もデメリットと言えるでしょう。
目次
オールセラミックは耐久性やほかの歯への負担がデメリットです
オールセラミックでは、白くきれいな歯を手に入れることができるので、虫歯治療で大きく歯を削らなければいけないときや歯並びを改善する際に、選ぶ人が多くなってきています。
保険適用となる差し歯の素材と比べてもデメリットは少ないように思われますが、どんな施術法にも弱点、デメリットというのはあるものです。
その一つには、割れやすさがあります。
最近のオールセラミックでは素材が少しずつ改良されてきているので、割れにくくなってきているようですが、陶器と同じ素材と考えていただけるとわかるように、急に強い力が加わったりすると割れることがあります。
ただ、元々私たちの口の中にあった歯よりも硬い素材ではあります。
そのため、オールセラミックを入れた歯の周辺の歯や、噛みあう歯にかける負担が大きくなる場合があり、傷めてしまうことがあります。
それから、オールセラミックは比較的最近、用いられるようになった施術法です。
そのため、オールセラミックがどのくらい耐久性があるのかが不透明という点もあります。
保険適用になるプラスチック素材は、20年前後で変色することが知られています。
オールセラミックは変色しないことが知られていますが、どれくらいの耐久性があるのか、まだ見定められていないことも、デメリットとして挙げられるでしょう。
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- 歯ぎしりや食いしばりなどの癖がある場合、オールセラミックの寿命にも影響を与えてしまう可能性があります。
オールセラミックには、デメリット以上のメリットもあります
健康保険が適用になる差し歯、硬質レジン前装冠では金属製の差し歯の表面にプラスチック素材を貼り付ける方法が用いられます。
この場合、長い年月の間、唾液は口に入れられる水分の影響でこの金属が溶けだすなどして黒く変色するほか、金属アレルギーがある方ではアレルギー反応を誘発することがあります。
ですが、オールセラミックの場合は、この心配が無用となります。
また、プラスチック素材では使用している間に水分を吸収して変色するデメリットがありますが、オールセラミックでは変色の心配が必要ありませんから、綺麗な歯を長い間保つことができます。
加えて、虫歯にもなりにくい素材であるという点も、メリットと言えるでしょう。
ただし、オールセラミックの土台に元々もっていた歯を使用している場合、歯と歯茎の間の部分、歯周ポケットまできちんと歯磨きでケアをしておかないと、土台部分で虫歯になる恐れがありますから、丁寧にしっかりと歯磨きをしておくことは必要になります。
ただ、これに関しては、硬質レジン前装冠の場合も同様と言えます。
前歯では特に、オールセラミックを選ぶことをおすすめします
奥歯の場合、食べ物をすりつぶすときや、手足で強い力を発揮する際に歯を食いしばる際に、強い力がかかることがあります。
そのため、奥歯でオールセラミックを使用すると、オールセラミックのデメリットである割れやすさが影響することが懸念されます。
その点、前歯の場合、酷く硬いものを噛むということさえしないように注意をすれば、強い力が加わる心配がないですし、変色しにくいメリットがあるので、人と会話したり大きな口を開けて笑ったりする際に歯の色を気にする必要はありません。
また、奥歯の場合は歯周ポケットと呼ばれる部分のブラッシングは鏡を見ながら行うことが難しいですが、前歯の場合は比較的楽に鏡を見ながら歯ブラシの毛を当てていくことができるので、お手入れもしやすいといえるでしょう。
ただ、年と共に歯茎は痩せて下がっていきます。
その際にオールセラミックと土台との境目が見えてくることがありますが、これは硬質レジン前装冠でも同様のことが言えますので、オールセラミックのみに限ったことではありません。
(まとめ)オールセラミックにデメリットはあるの?
オールセラミックはメリットも多いのです。
素材の硬さ故に噛み合わせの歯を痛めたり、新しい素材のため将来的に一生使うことができるものなのかが不明であったりする点はデメリットと言えるでしょう。
オールセラミックは元々が陶器と同じ素材ですから、割れやすいというデメリットがあります。
また、プラスチック素材の差し歯と比較して歴史が浅いため長期成績が出ておらず、どれくらいの耐久性があるのかが不明という点もデメリットと言えるでしょう。
オールセラミックでは、変色の心配が不要です。
そのため長い間白くてきれいな歯を手に入れることができる点、また金属を使用していないので金属アレルギーの心配が不要であるという点がメリットです。
前歯の施術こそ、オールセラミックのメリットが発揮されるといえます。
変色しにくいので長くきれいなままの歯でいられますし、酷く強い力が加わることも少ないので、食べ物にさえ気を付ければ割れるという心配もないのではないでしょうか。